メニューの現在地と画面遷移をCSSで指定する提案

つくば市のホームページ制作会社

サイトのグローバルメニューで「今いるページ」だけ色を変える。制作の現場では当たり前にやっている処理ですが、実装の中身はいまだに泥臭いままです。WordPressならテンプレート側で付与されるクラスを頼りにし、静的サイトなら手書きでクラスを足すか、JavaScriptでURLを見て付け替える。ページ遷移のアニメーションまで含めると、さらに手数が増えます。

その領域をCSSの言葉で書けるようにしよう、という提案が7月末に公開され、8月に入って各所で取り上げられています。Chromeの開発者リレーション側から出ているもので、CSS Working Groupのベルリンでの対面会議で発表されたとされています。仕様案の名前はCSS Route and Navigation Matchingです。

URLのかたちに名前をつける

提案の土台になっているのが@routeという新しい記法です。URLのパターンに対して名前をつけておく、という発想で、たとえばトップページを表すパターンと、詳細ページを表すパターンをそれぞれ別の名前として登録します。パターンの書き方は、サーバー側のルーティングで広く使われている記法をそのまま持ち込む形になっています。

ここが効いてくるのは、URLの判定ロジックがスタイルシートの中に集約される点です。今までは「このページかどうか」の判定がテンプレート、JavaScript、CSSのクラス名の三箇所に散っていました。名前をつけて参照する形になれば、少なくとも見た目に関わる部分は一箇所に寄せられます。

サイトのURL設計そのものをスタイルシート側に書き写すことになるので、運用の途中でURLを変えたときの追従先が明確になる、という副次的な効果もありそうです。逆に言えば、パターンの登録場所が増えれば管理箇所も増えるわけで、そのあたりの落としどころは実装が出てからの評価待ちでしょう。

どこから来てどこへ行くかで演出を変える

@navigationは、遷移の出発点と到着点を条件にして、その組み合わせのときだけスタイルを効かせる仕組みです。一覧から詳細へ進むときは左へ流れ、詳細から一覧へ戻るときは右へ戻る、といった向きのある演出を、遷移の向きそのものを条件として書けます。

従来これを実現するには、遷移を横取りして遷移前と遷移後のURLを比べ、View Transitionの種類をスクリプトから動的に指定する必要がありました。ページ数が少ないうちはよくても、階層が増えるほど条件分岐が膨らみます。宣言的に書けるようになるなら、この手のコードはかなり減らせそうです。

実務の目線で言えば、遷移演出は「入れたいが手間に見合わない」と判断されがちな部類です。デザイン段階では案に上がっても、実装コストと不具合の起きやすさを考えて見送る。書き方が数行で済むなら、その判断のラインは確実に動きます。

リンクの行き先を見て装飾する

もうひとつ、:link-to()という擬似クラスが提案されています。リンクの行き先が、登録しておいたルートやURLパターンに合致するかどうかで、そのリンク自体の見た目を決められるというものです。冒頭に挙げたグローバルメニューの現在地表示は、まさにこれで書ける範囲に入ります。

あわせて、遷移のきっかけになった要素そのものを指す:nav-sourceも用意されています。押されたリンクやボタンだけを起点にした演出が組めるので、カード一覧から詳細へ移る際に押したカードだけを動かす、といった表現が素直に書けるようになります。

現時点でできること

状態としてはまだ仕様の草案段階で、Chrome Canaryで実験的機能のフラグを立てれば試せる、という位置づけです。仕様の細部は議論の最中で、GitHub上で意見を募っている段階でもあります。今日の案件に持ち込むものではありません。

ただ、方向としては注目に値します。この一年ほど、JavaScriptで組み立てていた挙動がHTMLやCSSの側へ移っていく流れが続いており、この提案もその延長線上にあります。中小企業のサイトのように、メニューが数項目で、遷移の演出も凝ったものは求められない案件ほど、この手の機能は恩恵が大きいはずです。現在地の表示のためだけにスクリプトを1本読み込む、という判断をしなくて済むからです。

今のうちにできるのは、自社サイトや保守案件で現在地表示や遷移演出をどう組んでいるかを把握しておくことくらいでしょう。実装が散らばっているほど、こうした仕様が実装されたときの整理の効果は大きくなります。

更新前に確かめておきたいWordPressの挙動変更

つくば市のホームページ制作会社

WordPressの次の版が8月19日に公開される予定で、いまは公開直前の候補版が配布され、検証が進んでいる段階です。新機能の紹介はあちこちで出そろってきましたが、制作の現場で先に気になるのは、いま動いているサイトのどこが変わるかのほうではないでしょうか。

公式の開発者向けまとめを読むと、機能追加とは別に、既存のテーマやプラグインが前提にしていた作りが静かに変わる箇所がいくつかあります。派手な話ではありませんが、当たっていると管理画面の見た目や動きに出ます。更新前に目を通しておきたいものを並べてみます。

投稿の編集画面が常に枠の中で動く

これまでは、テーマの種類やブロックの版によって、投稿編集画面がiframeの中に入るかどうかが切り替わっていました。次の版では条件によらず常に枠の中で動きます。どちらになるか読めない状態が解消されるのは扱いやすくなる方向の変更です。

ただし、編集画面に独自の見た目を足している場合は挙動が変わる可能性があります。enqueue_block_editor_assetsのような正規の入口から読み込んでいれば影響は小さいはずですが、管理画面全体のCSSに紛れ込ませていたり、親の画面を直接触るスクリプトを書いている場合は、実際に開いて確かめておくのが早いです。

一覧画面の表の作りが変わる

投稿一覧などの表で、行の見出しとして扱われるセルが、チェックボックスの列からタイトルの列へ移ります。読み上げたときの筋道としては素直になる変更ですが、列の位置を決め打ちしたセレクタに頼っている拡張は影響を受けることがあります。

一覧に独自の列を足すプラグインは、中小企業のサイトでもよく入っています。受注状況や公開予定日を一覧に出すような作り込みをしている場合は、更新前に検証用の環境で開いてみる価値があります。

管理画面の入力部品の大きさがそろう

管理画面の部品群では、大きさを指定していたプロパティが役目を終え、フォーム部品は一律で40ピクセルの高さで描かれるようになります。小さめの指定は渡しても効かなくなり、非推奨の扱いになります。

独自の設定画面を持つプラグインを作っている場合、詰めて並べていた入力欄の高さが変わり、レイアウトが縦に少し伸びることがあります。壊れる類の変更ではありませんが、二列に並べていた部分の折り返しなど、見た目の調整が必要になるかもしれません。

ナビゲーションの文字サイズの効き方が変わる

ナビゲーションのブロックが、子の項目に自分の文字サイズを押し付けなくなります。入れ子のドロップダウンで文字サイズが掛け算のように効いてしまい、階層が深いほど不自然に大きくなる、あるいは小さくなるという問題への対処です。

回り道の指定でごまかしていた部分が本体側で正されるのはありがたい変更ですが、裏を返せば、更新後にメニューまわりの見た目が変わるサイトはあるということです。納品済みのサイトが複数ある制作者は、階層メニューを持つものだけでも一度目視しておきたいところです。

実験段階だった機能が正式に使えるようになる

タブとプレイリストのブロックが実験扱いから外れ、標準の部品として使えるようになります。加えて、背景にグラデーションと画像を重ねられる指定や、ブロックの最小幅を指定できる仕組みも増えました。管理画面に説明の吹き出しを出すための関数も用意され、読み上げに配慮した形で組み込めるようになっています。

これまで小さなプラグインや自作のブロックで賄っていた部分が、本体側だけで足りるようになるかもしれません。プラグインの数を減らせれば更新の手間も脆弱性の窓口も減るので、棚卸しのきっかけにはなりそうです。

公開までは一週間ほどです。候補版は検証用に配布されているので、複雑なテーマや作り込んだ管理画面を抱えているサイトは、本番の更新を待つ前に複製した環境で一度開いておくと、当日は落ち着いて臨めます。

よくある質問の飾りが消えたあとの構造化データ

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検索結果の見た目にかかわる仕組みは、この数年でずいぶん整理されてきた。中でも設置していたサイトが多かったのが、質問と回答を検索結果の中に折りたたんで見せるFAQのリッチリザルトだ。表示そのものは今年の五月に止まり、その後もSearch Console側の対応が段階的に外されてきた。最後まで残っていたAPIのサポートが、今月で終わる。

ひとつの表示形式が消えるという話にとどまらず、構造化データを何のために書くのかという前提が静かに動いている。過去に廃止された型の顔ぶれと、逆に細かくなっている領域を並べて見ると、その動きが見えてくる。

段階的に外されてきた対応が今月で終わる

時系列を整理しておく。FAQのリッチリザルトが検索結果に出なくなったのは五月七日で、翌日の五月八日にGoogleのドキュメントへ廃止の告知が入った。六月にはSearch Consoleの検索での見え方のレポートと、リッチリザルトテストからFAQの扱いが外れた。ドキュメント側でもFAQのリッチリザルトに関する記述そのものが削除されている。そして八月、Search Console APIからのサポートが外れる。

実務上の影響は、どこまで自動化しているかで変わる。管理画面を目視で確認しているだけなら、六月の時点でレポートが消えているので今月は何も起きない。一方、APIを叩いてレポートを自社ツールやスプレッドシートへ流し込んでいる場合、FAQの項目を参照している処理は今月のどこかで結果が返らなくなる。制作会社が保守で運用レポートを自動生成しているケースでは、ここが静かに壊れる。数字が出なくなるのではなく、項目そのものが無くなるという壊れ方なので、エラーで気づけるとは限らない点に注意したい。

付け加えると、Googleは表示をやめただけで、ページに書かれたFAQの構造化データを読むこと自体はやめていないと説明している。マークアップを急いで剥がす必要はない、という整理になる。

消えていった型に共通していたもの

廃止されたのはFAQだけではない。手順を検索結果に並べて見せるHowToは、モバイルでの表示が絞られたあと、二〇二三年九月にデスクトップでも出なくなった。教育系のサイトで使われていたPractice Problemは、今年一月にSearch Consoleとそのレポート機能からサポートが外れている。

共通しているのは、表示される機会がそもそも少なく、表示されても利用者があまり触っていなかった型だという点だ。Googleの説明でも、使われる頻度が低く利用者への価値が大きくない機能を整理した、という言い方をしている。逆に言えば、検索結果の面積は有限で、そこに何を出すかは常に取捨選択の対象だということでもある。

もうひとつ見落としやすいのが、FAQのリッチリザルトが後半では、政府機関や医療分野の、広く知られた権威あるサイトにしか出なくなっていたことだ。同じマークアップを書いても表示されるかどうかは相手次第で、それ以外のサイトでは書いても出ないという状態が先に来ていた。今回の廃止は、その状態を正式に確定させたに近い。

この経緯は、リッチリザルトを前提にページを設計することの危うさも示している。手順を並べる形式が有利だと聞いてHowTo用にページを組み直した制作現場は当時それなりにあったはずだが、その表示は数年で消えた。表示形式は検索側の都合で入れ替わるものだと考えておくほうが、長い目で見れば手戻りが少ない。

構造化データ全体が縮んでいるわけではない

廃止の告知が続いたことで、構造化データそのものを縮小していく方針なのではという受け取り方が一部で広がった。ただ、Googleはこれを明確に否定している。整理の対象はあくまで使われていない一部の型であり、基本的な情報の伝え方をやめるわけではない、という立場だ。担当者からは、表示形式は移り変わるものだが、タイトルタグやrobotsの指定のように手放してはいけないものもある、という趣旨の説明も出ている。

実際、記事、パンくず、事業所情報、商品、動画といった定番の型は今も現役で、廃止の予定は出ていない。中小企業のサイトで効いてくるのは元々このあたりで、FAQの有無で検索流入が大きく動いていたサイトはそう多くないはずだ。手を入れる優先順位を決めるときは、廃止された型の話より、こうした残っている型が正しく出力できているかを見るほうが実りがある。

商品や価格まわりはむしろ細かくなっている

縮小の反対側で、記述が細かくなっている領域もある。七月には、販売者向けの商品情報にcategoryプロパティが追加された。文字列でカテゴリ名を書く方法と、コード体系で指定する方法の両方が使えるようになっている。加えて、セール期間の扱いを説明する節が新設され、開始と終了の日時を表すvalidFrom、validThrough、そして表示価格の有効期限を示すpriceValidUntilの使い分けが整理された。

この方向は分かりやすい。人間が読む文章から機械的に取り出しにくい情報ほど、構造化データで明示する価値が残るということだ。質問と回答は本文を読めば分かるが、そのセール価格がいつまで有効なのかは本文の書きぶり次第で判別できない。だからこそ価格や在庫、期間といった要素は、むしろ書式が整えられていく。

通販をやっていないサイトでも、この考え方は流用できる。営業時間、所在地、対応エリア、料金の条件といった、本文中では表現がばらつきやすい情報を構造化データ側で揃えておくと、後から自分たちで検算しやすくなる。表示のためというより、データとしての整合性を保つための作業に近い。

付随して、期間を持つ情報には失効という考え方がついて回る点も押さえておきたい。終了日を書いた以上、その日を過ぎた記述が残っていれば、それは単に古い情報になる。構造化データを入れるということは、更新の責任を一つ増やすことでもある。誰がいつ見直すのかを決めないまま項目だけ増やすと、数年後に手をつけられない塊になりやすい。

口コミの扱いに条件が足された

七月下旬には、レビュースニペットのガイドラインにも追記があった。やらせのレビューや、報酬と引き換えに書かれたレビューについての基準が加わっている。星の数を検索結果に出す仕組みは以前から人気があるが、その分だけ、出所の怪しい評価を集めて表示させようとする動きも起きやすい。基準が明文化されたのは、そこに線を引く必要があったからだろう。

地方の事業者にとっては、他人事ではない話でもある。レビューを集める施策を外部の業者に任せている場合、その集め方がガイドラインに触れていないかは一度確認しておきたい。表示が止まるだけならまだしも、サイト全体の評価に影響が及ぶ形になると、回復に時間がかかる。

制作の現場で見直しておきたいところ

まず、FAQのブロック自体は消さなくていい。検索結果に出なくなっただけで、訪問者にとって質問と回答の形式が読みやすいことは変わらない。むしろ、リッチリザルト目当てで無理に質問形式へ変形させていたページがあるなら、この機会に読み物として自然な形へ戻すほうが素直だ。表示のために作られた文章は、たいてい読みにくい。

次に、構造化データの出所を把握しておきたい。WordPressで運用しているサイトの多くは、SEO系のプラグインやテーマが自動で出力している。プラグインを乗り換えたり、テーマを入れ替えたりしたときに、古い型と新しい型が二重に出ていたり、逆にどこからも出なくなっていたりすることがある。リッチリザルトテストやスキーマの検証ツールで、主要なページを何枚か抜き取って確認するだけでも状況はつかめる。

そして、レポートの自動化をしているなら今月のうちに参照箇所を確認しておく。APIの項目が消える変更は、画面を見ているだけでは気づきにくい。数年単位で運用するサイトほど、こういう小さな失効が積み重なって、いつの間にか誰も中身を保証できない状態になりやすい。

構造化データは、検索結果を飾るための道具から、ページの内容を機械に正しく渡すための道具へと、役割の重心が移りつつある。飾りが減ったぶん、書いた内容が正しいかどうかだけが残る。派手さはないが、こちらのほうが手入れのしがいはある。Google検索セントラルの更新履歴は日付順に並んでいるので、こうした変更を追うときの起点として使いやすい。

アイコンの置き場所が次期WordPressで一本化される

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サイトにアイコンを一つ足すだけの作業が、案外ややこしい。テーマのフォルダにSVGを直接置く方法、プラグインが独自に読み込む方法、外部のアイコンフォントを呼ぶ方法が、同じサイトの中に混在していることは珍しくない。担当者が代わったあとで「この矢印はどこから来ているのか」を追いかけた経験のある人は多いはずだ。

8月19日に公開が予定されている次期WordPressで、この部分に手が入る。アイコンを本体側に登録しておき、編集画面からもテンプレートのPHPからも、さらにREST API経由でも同じ名前で取り出せる仕組みが、正式な関数として公開される。

これまでは各自で抱え込むしかなかった

アイコンを置くためのブロックは、ひとつ前のバージョンで本体に入っている。ただし、そこへ自社のロゴマークや業種特有の記号を足したい場合に、公開された入り口が用意されていなかった。開発者向けの告知によると、内部向けのクラスを無理に呼び出すか、プラグイン側で独自の一覧を持ち回るか、どちらかを選ぶしかない状態だったとされている。

結果として、ひとつのサイトの中に似たような管理方法がいくつも並ぶ。テーマの中にはあるのに編集画面の一覧には出てこない、といったずれも起きる。小さな話に見えて、更新や引き継ぎのたびに時間を取られるのはこういうところだ。

アイコンを足したい場面自体は、規模の小さいサイトほどよくある。問い合わせ先に添える電話やメールの記号、事業内容を並べたときの業種ごとのピクトグラム、外部の会員サイトへ誘導するボタンの矢印。どれも凝ったものではないが、既定の一覧に入っていなければ自前で持ち込むしかなかった。

登録は一か所、呼び出しは三通り

新しく加わるのは、アイコンのまとまりを作る関数と、そこへ個々のアイコンを加える関数だ。wp_register_icon_collection() でグループを作り、wp_register_icon() でSVGの中身かファイルの場所を渡す。名前は「グループ名/アイコン名」の形で付ける決まりで、使えるのは小文字と数字、ハイフン、アンダースコアに限られる。不要になったものを外す関数も対で用意されている。

登録したアイコンは三つの場所から使える。編集画面のアイコン選択欄ではグループごとのタブに分かれて並び、名前やラベルでの絞り込みも効く。テンプレート側では wp_get_icon() で書き出せて、大きさやクラス名、読み上げ用のラベルを添えられる。加えて /wp/v2/icon-collections/wp/v2/icons といった読み取り専用のエンドポイントが用意され、記事を編集できる権限を持つユーザーであれば一覧を取得できる。

地味だが大きいのは、登録する場所がひとつに決まったことだと思う。テーマが持っていてもプラグインが持っていても、同じ棚に並ぶ。そのサイトで今どのアイコンが使えるのかを一覧で確認できる状態は、これまで意外と手に入らなかった。

読み込めるSVGはかなり絞られている

登録したSVGはそのまま出力されるわけではなく、本体のタグ整形処理を通る。許されるのは svgpathpolygon の三種類の要素と限られた属性だけで、それ以外の要素やインラインの装飾指定、スクリプト、イベント属性は落とされる。現時点では線の太さを指定する属性や、外側の要素に付けた塗りの指定も対象外とされている。

SVGは以前から、アップロードを許すと侵入の入り口になりやすい形式として扱われてきた。管理画面から自由に置けるようにしないほうがよい、という判断はここでも変わっていない。線で描いたアイコンを使いたい場合は、あらかじめ塗りの形に変換してから登録するといった準備が必要になる。窮屈ではあるが、安全側に倒した設計だと考えるとつじつまは合う。

効いてくるのは引き継ぎの場面

この変更は派手ではない。既存のサイトが速くなるわけでも、見た目が変わるわけでもない。効いてくるのは、作った人と日々更新する人が違うときだ。アイコンの出どころが一か所にまとまっていれば、あとから触る人はまずそこを見ればよい。制作会社が納品したあと社内で運用していく中小企業のサイトほど、この差は効いてくる。

もっとも、現時点での使いどころはアイコンを置くブロックとナビゲーション周りが中心で、既存のサイトを慌てて作り替えるような話ではない。新しくテーマやプラグインを組む段になって、アイコンをどこに持たせるか決めるときに、この方法があることを思い出せれば十分だろう。仕様の詳細は開発チームの告知にまとまっている。

毎年恒例のCSS調査から見える現場の使い分け

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CSSの使われ方を毎年たずねている調査「State of CSS」の最新の結果が公開された。回答を集めたのは今年の5月中旬から6月末にかけてで、世界の制作者4,902人が答えている。新機能の発表そのものではないが、現場で何が実際に使われていて、何がまだ様子見なのかが数字で並ぶので、自分たちの手札を確かめる材料になる。

使用率の上位は、条件に合う子要素を持つ親側を指定できる :has() が83.7%、縦横比を保つ aspect-ratio が81.3%、入れ子で書ける CSS Nesting が70.6%と続いた。少し前まで「便利そうだが対応状況が心配」と言われていた顔ぶれが、上から順に普通の道具として定着したことになる。逆に、この春から夏にかけて主要ブラウザに入ったばかりの指定は使用率が数%にとどまっており、ブラウザで使えるようになったことと、実案件で使われることの間には、やはり数年単位の距離があるとわかる。参考にしている情報源としては、MDN と Can I Use を挙げた人が多かった。新しい指定を試す前に対応状況を確かめる、という手順が広く共有されているということだろう。

気に入られている機能と、使われている機能

面白いのは、注目度と使用率が一致していない点だ。回答者が最も気に入った新機能として挙げたのは、要素を別の要素に紐づけて配置するアンカーポジショニング(anchor positioning)だった。ところが「対応状況が理由で使えていない機能」の筆頭にも、同じ名前が並ぶ。画面遷移をなめらかに見せる View Transition API や、条件分岐を書ける if() も似た位置にいる。触ってみたい気持ちと、納品するサイトに入れられるかどうかの線引きが、はっきり分かれている様子がうかがえる。

つまずきどころとして多く挙がったのは配置まわりで、次いで :has()、コンテナの幅で見た目を出し分ける @container が並んだ。どれも、うまくはまれば記述量がぐっと減る反面、思ったように効かないときの原因追いに時間を取られやすい種類の機能だ。それでも全体の満足度は5段階でおよそ4と、ここ数年ほぼ横ばいのままだった。書きやすくなった実感と、細かいところでの引っかかりが同居している、という受け止め方が続いていることになる。

中小企業のサイトを預かる立場からすると、この手の調査は流行を追うためというより、線引きの目安として使いやすい。使用率が高く枯れた機能は迷わず採用し、話題の新しい指定は、効かなかったときの見え方まで用意できる範囲で試す。企業サイトは公開してから何年も動き続けるものが多く、閲覧環境の幅も広い。上位に並ぶような定着した機能であれば、古い端末が混ざる相手でも心配は少ない。数字を眺めながらそのあたりの分け方を決め直すだけでも、調査に目を通す価値はある。詳しい内訳は調査結果のページで公開されている。

ログイン画面の不備を含むWordPressの臨時セキュリティ更新

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WordPress本体のセキュリティ更新が公開されました。8月6日に出た臨時リリースで、修正された不具合は12件です。機能追加を伴わない、修正だけを目的とした更新になります。

この種の更新は定期的に出てきますが、今回は未ログインの状態から届く経路が含まれていた点で、優先度が一段高いものになっています。管理画面に入れる人だけが対象、という前提が成り立たない種類の不具合だからです。

ログイン画面から届く経路がふさがれた

今回いちばん重く扱われているのは、ログイン画面で見つかった反射型のクロスサイトスクリプティングです。CVE-2026-64638として登録され、深刻度は9に近い数値がつきました。公式のリリース情報によると、条件がそろうとPHPのコード実行につながる可能性があるとされています。

反射型というのは、送り込まれた内容がそのまま画面に跳ね返って動いてしまう型のことです。データベースに残らないぶん痕跡が追いにくく、あとから気づきにくい種類でもあります。今回変更されたファイルにはログイン画面の本体や出力の無害化を担う処理が含まれており、画面に出す直前のエスケープを補う形の修正が中心になっています。特殊な仕組みを足したわけではなく、基本の処理の抜けを埋めた、という内容です。

ただし、放っておけば勝手に乗っ取られるという話ではありません。攻撃者が用意したリンクを管理者が踏む、といった手順が要ります。とはいえ、細工したURLを開かせるだけで足がかりができるのは、アカウントを持たない相手にも入口があるということです。問い合わせフォーム経由で管理者宛にURLが送られてくる現場を思うと、まったくの他人事にはしにくいところです。

権限の低いユーザーがいるサイトほど確認したい

残りの修正も、後回しにしてよいものではありません。投稿者や寄稿者の権限で保存できてしまうスクリプトの混入、パスワード保護した記事のコメントが一覧に漏れる問題、マルチサイトで登録を開放している場合の権限昇格、URLの検証をすり抜けて内部向けのアドレスへ通信させられる不具合などが並びます。

WordPressの権限は、寄稿者は記事を書けても公開はできない、といった段階で線が引かれています。その前提のもとで運用を組んでいる現場からすると、寄稿者の権限でスクリプトを保存できてしまう状態は、引いていたはずの線が一段ゆるむことを意味します。外部に原稿を頼んでいる場合、相手を疑うかどうかという話ではなく、そのアカウントが乗っ取られたときの被害範囲が変わってくる、と考えたほうが実態に近いはずです。

共通しているのは、外部のライターや複数の担当者が出入りするサイトほど影響を受けやすい、という点です。編集部制で運用しているメディアや、支店ごとに更新担当を置いているサイトは、この機会に権限の割り当てもあわせて見直しておくと落ち着きます。使っていない寄稿者アカウントが残っているケースは、実際にかなり多いはずです。

古い版にもさかのぼって修正が配られた

今回目を引くのは、修正が現行版だけでなく、4.7系まで戻ってそれぞれの系統に配られたことです。7.0系は12件すべて、6系はおおむね8件から11件、5系や4系は7件から8件が該当し、系統ごとに対応版が出ています。4.6以前はすでに対象外です。

本体を大きく上げるのが難しい案件でも、同じ系統の中で当てられる修正が用意されている、という意味になります。古いから手の打ちようがない、ということはありません。ただし、正式にサポートされているのは最新版だけ、という原則自体は変わっていません。古い系統への配布はあくまで好意によるものだと明記されています。制作を引き継いだまま長く動いているサイトを抱えているなら、いまどの系統で止まっているのかを一度洗い出しておく価値があります。

自動更新が生きているかを見ておく

マイナー更新の自動適用が有効なら、公開から数時間のうちに当たっているはずです。問題になりやすいのは、過去の検証や不具合の切り分けで自動更新を止めたまま元に戻していない環境で、こうしたサイトは静かに取り残されます。契約しているサーバー会社の管理画面側で更新をまとめて制御している場合もあるので、どこで止まっているのかを切り分けておくと話が早くなります。

管理画面の更新ページでバージョンを確かめ、必要なら手動で当てる。あわせて、wp-config.phpやサーバー側の設定で自動更新を無効にしていないかも見ておくと、次の臨時リリースのときに慌てずに済みます。更新後にログイン画面と投稿の編集画面がふだんどおり開くかを確認しておけば、ひとまず十分でしょう。

修正が公開されてから実際に狙われはじめるまでの間隔は、年々短くなっているという報告が続いています。次の定例作業のときにまとめて、という進め方は、少なくとも本体のセキュリティリリースに関しては取りにくくなってきました。

WordPressの土台にあるReactの入れ替えが先送りになった

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WordPressの管理画面、とくにブロックエディタの中身は、Reactというメニューや画面部品を組み立てるためのJavaScriptライブラリで動いています。そのReactを新しい世代に入れ替える作業がしばらく進められていたのですが、8月に予定されている次のWordPressには入らないことになりました。開発チームが7月下旬にMake WordPress Coreで経緯を公開しています。

いったんはGutenbergプラグインの側で新しい世代に切り替えてみたものの、想定していなかった不具合が続けて報告され、数日で元に戻されたとのことです。原因として挙げられているのは大きく二つ。ひとつは、プラグインがReactの部品をWordPress本体から借りずに自前で同梱していたケースで、この場合は古い世代と新しい世代が同じ画面の中で同時に動いてしまい、内部のデータの持ち方が食い違って壊れます。もうひとつは、新しい世代で廃止された古い書き方が、プラグイン側にそのまま残っていたケースです。文字列で書くref、関数コンポーネントへのdefaultProps、旧来のcontextの定義などが具体例として挙がっています。

本体は当面そのまま、試したい人には実験用のスイッチ

そのため、次のWordPressは従来どおりのReactを載せたまま出ます。切り替えを先に試しておきたい開発者向けには、Gutenbergプラグインの23.4以降に実験用のスイッチが用意されました。設定画面から有効にすると、本体が配っている部品だけが新しい世代に差し替わり、公開済みのプラグインが将来直面する状況をそのまま再現して確かめられます。あわせて、公式のPlugin Checkプラグインには、問題になりやすい書き方を自動で見つける検査を追加する作業が進められています。手作業で全部を洗い出さなくてよくなったのは、地味ですが助かる変更です。

サイトを運用している立場からすると、今回のニュースは特に何かをする話ではありません。ただ、独自のブロックや管理画面の拡張を自作している、あるいは制作会社に作ってもらっている場合は、事情が少し変わります。いずれ切り替えは来るので、その前に一度実験用のスイッチで動作を確かめ、ブラウザのコンソールにエラーが出ていないかを見ておくと、あとで慌てずに済みます。ブロックエディタまわりのカスタマイズは、こうした土台の入れ替えの影響をまっすぐ受ける場所です。

互換性の問題が見つかった時点で無理に押し通さず、二日で元に戻して検証期間を取り直したという判断は、更新のたびに現場が振り回されないという意味ではありがたい話でもあります。管理画面が急に開かなくなったときに困る度合いは、社内に専任の担当を置きにくい中小企業のサイトほど大きくなります。派手さのない先送りですが、その裏側を眺めておくと、次に来る更新への構え方も少し変わってきます。

アップロードした画像の変換がブラウザ側で行われるようになる

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WordPressで写真をアップロードしたとき、裏側では何が起きているか。サーバー上のPHPが元画像を読み込み、縮小版を何種類か書き出し、必要なら形式を変換している。撮ったままの大きな写真を何十枚もまとめて投げ込むと、この処理が重くて途中で止まる。更新担当が自分で写真を載せている中小企業のサイトでは、よくある詰まりどころだ。

今月中旬に公開が予定されているWordPressの次の版では、この画像処理の担当がサーバーからブラウザに移る。開発チームの解説によると、圧縮、リサイズ、形式変換、回転、サムネイル生成までを、操作している人の手元のブラウザで済ませる仕組みだという。

画像処理のエンジンがブラウザの中で動く

使われているのはwasm-vipsと呼ばれるもので、画像処理ライブラリのlibvipsをWebAssemblyに変換し、ブラウザ上で動かせるようにしたものだ。処理はWeb Workerに逃がしてあるため、変換の最中でも編集画面の操作が固まりにくい。

副次的な効果として、書き出される画像そのものも変わる。libvipsが生成するJPEGは、これまで使われてきたGDやImagickによるものよりおよそ15パーセント小さくなるとされている。サーバーに入っている画像ライブラリの違いで書き出し結果が微妙に変わっていたのが、どの環境でも同じ出力に揃う点も見逃せない。共用サーバーを使う案件が多いほど、この均一さはありがたい。サーバーごとの環境差を吸収するために、書き出し品質の設定を案件別に調整していた人には、手間が一つ減る話でもある。

iPhoneの写真やアニメーションGIFの扱いも変わる

分かりやすいのはHEICへの対応だろう。iPhoneの標準的な写真形式だが、これまではサーバー側の対応状況次第でアップロードできないことがあった。新しい仕組みではブラウザ内でデコードしてJPEGに変換し、元のファイルは別途保持される。

AVIFは10ビットや12ビットといった高階調の元データまで通り、UltraHDRのJPEGはゲインマップを保ったまま各サイズが書き出される。透過のないアニメーションGIFはMP4やWebMの動画に変換され、エディタ側では自動再生とループが効く動画ブロックの派生として挿入される。見た目は元のGIFのままで、ファイルだけが軽くなる形だ。

条件を満たさない環境では今までどおりになる

気になるのは、対応していない環境で何が起きるかという点だが、ここは素直な作りになっている。条件を満たさない場合は従来どおりサーバー側で処理され、切り替えは自動で、画面上の見え方も変わらず、エラーも出ない。判定には端末のメモリ量やCPUのコア数、通信速度、CSPでblobが許可されているかどうかが使われる。

ブラウザ側の条件はやや厳しめだ。SharedArrayBufferを使う都合でDocument-Isolation-Policyに対応したChromium系のブラウザが必要で、FirefoxとSafariは当面サーバー側処理に回る。ただしHEICのデコードだけはSafariでも動く。サイト側で機能ごと止めたい場合はwp_client_side_media_processing_enabledフィルターをfalseにすればよく、big_image_size_thresholdjpeg_qualityといった既存のフィルターもそのまま効くとされている。

制作の現場から見て効いてくるところ

実務でありがたいのは、PHPのメモリ上限に起因するアップロード失敗が減ることだ。画像処理はメモリを食う工程で、共用サーバーの上限に当たって管理画面が真っ白になる相談は今でも珍しくない。その負荷がブラウザ側に移るなら、サーバーの構成を触らずに回避できる場面が増える。手元のパソコンは近年それなりに性能が上がっているので、重い工程を任せる先としては悪くない。

アップロードの粘り強さも上がっている。サイズ違いの書き出しごとにリクエストが分かれ、失敗すれば間隔を空けて自動で再試行する。回線が切れれば一時停止し、つながれば再開する。進捗も画面に出て、読み上げソフトにも伝わる作りだ。出先からスマートフォンで写真を上げる担当者がいるサイトほど、この差は体感しやすいだろう。

正式な公開は今月中旬の予定になっている。普段どおりの写真の投げ方を検証環境でひととおり試し、いつも使っている画像形式が想定どおりに変換されるかを見ておくと、切り替わったあとに慌てずに済む。

次のChromeで増えるCSSと入力欄まわりの指定

つくば市のホームページ制作会社

ウェブ制作の現場では、ブラウザの新しい版に何が入るかを追いかけるかどうかで、書けるコードの幅が少しずつ変わってきます。今回はChromeの次の安定版に向けたベータ版で公開された変更のうち、中小規模のサイト制作でも出番がありそうなものを並べてみます。

派手な目玉機能があるわけではありません。ただ、これまでJavaScriptを足して解決していた場面や、ブラウザ任せにするしかなかった挙動を、書き手の側で決められるようになる追加がいくつか含まれています。

再生中か一時停止かをCSSだけで見分ける

音声や動画の要素に対して、再生の状態に応じて当たる擬似クラスが加わります。再生中を表す:playing、一時停止の:pausedのほか、シーク中の:seeking、読み込み待ちの:buffering、止まってしまった状態の:stalled、消音中の:muted、音量が固定されている:volume-lockedの計7種類です。

これまでは再生ボタンの見た目を切り替えるだけでも、イベントを拾ってクラスを付け外しするコードが必要でした。状態がそのままセレクタになるなら、装飾はCSS側に寄せられます。動画を使った制作物が多い方は、書き方が変わってくるところだと思います。

元の色はそのままに透明度だけを変える

CSS Color 5で定義されているalpha()が使えるようになります。すでにある色の値を起点にして、透明度の部分だけを差し替えた色を作れる指定です。

色をカスタムプロパティで一括管理していると、同じ色の薄い版を用意するために別の変数を足したり、色の値を分解して書き直したりしがちでした。元の色を参照したまま透明度を変えられれば、配色の管理は素直になります。ブランドカラーを一箇所で定義して各所に展開する作りとは相性が良さそうです。

入力欄の自動修正を書き手が決められる

autocorrect属性が、どの要素にも書ける共通の属性として扱われるようになります。inputやtextarea、contenteditableを指定した箇所で、入力内容に自動修正をかけるかどうかを指定できます。

氏名や住所、型番のように、勝手に直されると困る値を扱うフォームは少なくありません。問い合わせフォームの取りこぼしは中小企業のサイトでは直接の機会損失になるので、こうした細かい制御が標準の属性で書けるのは実務寄りの改善です。

読み込み先を絞り込むヘッダー

レスポンスヘッダーで接続先の許可リストを指定し、そこに載っていない宛先への通信を接続の前段階で止める仕組みも入ります。想定していない外部への送信を、ページを配信する側の設定で断てるという考え方です。

コンテンツセキュリティポリシーと重なる部分もありますが、プラグインやタグを多く積んだサイトほど、外部との通信経路は把握しづらくなります。制作を引き継いだサイトの棚卸しに使える道具が増えた、という見方もできます。

デスクトップ向けの指定や端末性能の判定

このほか、インストール型のデスクトップアプリとして動かしたときにタイトルバーとして扱う領域を決めるwindow-dragプロパティや、端末のCPU性能の段階を取得できるAPIも追加されます。前者は従来のapp-regionを置き換えるもので、後者は重い処理を出し分ける用途が想定されています。

どちらも一般的なコーポレートサイトで今すぐ使う類のものではありません。ただ、ブラウザで動かすものの幅がどこまで広がっているかを知る目安にはなります。

ベータ版の内容は正式版までに変わることがあるので、この段階で本番に入れる話ではありません。Chromeの開発者向けブログに各項目の詳細が載っているので、気になるものがあれば一次情報を確認しておくと、正式に配信されたときに動きやすくなります。

並べた要素のすき間に罫線を引く指定がブラウザに入った

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グリッドやフレックスで要素を並べたあと、そのすき間に細い線を入れたくなる場面は多い。カード一覧の区切り、料金表の縦線、記事リストの横罫。デザインとしてはごく普通の表現なのに、CSSで素直に書ける指定がなく、制作側が毎回それらしい形に組み立ててきた領域だった。ここへ来て、その部分がブラウザ側で片付きはじめている。

すき間に線を引くために、これまでやってきたこと

いちばん多かったのは、並べた要素そのものに枠線を付ける方法だろう。カードの右側にだけ線を引き、行末の要素は擬似クラスで線を消す。三列で組んだグリッドなら、三の倍数番目を狙って消していく。動くには動くが、列数がブレークポイントごとに変わると、消す対象も一緒に書き換えなければならない。

フレックスで折り返す並びだと事情はもっと厄介になる。何番目で折り返すかは中身の幅次第なので、要素の番号を狙う書き方が成り立たない。仕方なく擬似要素を絶対配置で置いたり、親に背景色を敷いてすき間だけ透かして線に見せたり、要素の背景色との差で線を演出したりしてきた。どれも見た目は作れるが、線の色を変えたいだけの依頼で三箇所直すことになる。

背景色を敷いて線に見せる手も、条件がそろえば見た目はきれいに決まる。ただし親の背景が写真やグラデーションだと途端に成立しないし、余白の値を変えると線の太さまで一緒に動く。ダークモードの切り替えを入れると、線の色ではなく背景色を二重に管理することになり、あとから読む人には何が線で何が下地なのか分かりにくい。

要するに、線を引くための仕掛けが、線とは関係のない場所に散らばっていた。すき間そのものを指定できる手段がなかったからで、これは書き手の工夫が足りないという話ではなかった。

もともと段組みだけのものだった指定が広がった

CSSには以前から column-rule という指定がある。ただしこれは段組みレイアウト専用で、グリッドやフレックスでは効かなかった。線を引く指定は存在するのに、いちばん使いたいレイアウトでは使えない状態が続いていたわけだ。

今回入ったのは、この column-rule をグリッドとフレックスにも広げ、さらに横方向のすき間に線を引く row-rule を新しく用意する、という変更になる。Chromeの開発者向けブログによると、ChromeとEdgeのバージョン149から既定で有効になった。段組み、グリッド、フレックスのいずれでも同じ書き方が通る。

書き味としては枠線の指定とほとんど同じで、太さと線種と色をまとめて渡すだけでいい。要素の何番目かを数える必要はなく、折り返しが増えても減っても、すき間があるところに線が入る。列数をブレークポイントで切り替えても、線の指定はそのままでいい。この一点だけでも、日々のCSSの見通しはかなり変わる。

交差やはみ出しをどこまで決められるか

実際にやってみると気になるのが、細部の扱いだ。縦線と横線が交わるところをどうするか、線をすき間いっぱいまで伸ばすのか少し余らせるのか、中身の入っていない列にまで線を出してしまわないか。この手の判断は、これまで擬似要素の位置調整でごまかしてきた部分でもある。

新しい仕様では、そこにもそれぞれ指定が用意されている。交差点の処理は column-rule-breakrow-rule-break、線をどこまで伸ばすかは column-rule-insetrow-rule-inset、空の行や列に線を出すかどうかは column-rule-visibility-itemsrow-rule-visibility-items が受け持つ。開発者向けの試用段階では伸縮の指定が別の名前だったが、仕様の側に合わせて整理された経緯がある。

加えて、線の太さや色、伸縮の量はアニメーションの対象になる。マウスを載せたときにだけ区切り線をうっすら出す、といった演出が、余計な要素を足さずに書けるということでもある。細かい話に見えるが、ここまで決められるかどうかで、回避策から本当に卒業できるかが分かれる。

使えるブラウザと、いまの構え方

現時点で対応しているのはChromiumを土台にしたブラウザで、SafariとFirefoxはまだ入っていない。ここは正直に見ておいたほうがいい。日本の中小企業サイトだとiOSのSafariの比率が高い案件も珍しくないので、いますぐ全面的に頼れる指定ではない。

ただ、この機能は使えなかったときの壊れ方が穏やかだ。対応していないブラウザでは、すき間に線が出ないだけで、レイアウトそのものは何も崩れない。区切り線が装飾として効いている程度の場面なら、対応済みのブラウザで少し丁寧に見える、という積み増しの使い方ができる。線がないと情報の区切りが読み取れない、という設計になっている場合だけ、従来の手法を残しておけばいい。

従来の手法を残す場合も、両方を無条件に書くと対応済みのブラウザで線が二重になる。対応しているかどうかで書き分ける @supports を挟んでおくと、この衝突は避けられる。新しい指定が使える環境では新しい書き方を、そうでない環境では今までの回避策を、という形にしておけば、数年後にSafariとFirefoxが追いついた時点で、古いほうのかたまりを削るだけで済む。移行の作業を先に用意しておく、という考え方に近い。

未対応のブラウザ向けのポリフィルも開発が進んでいるとされている。ただ、装飾のためにスクリプトを足すのは本末転倒になりやすいので、まずは飾りとして入れて様子を見る、という順番が現実的だと思う。

見た目の細部がCSS側に寄っていく流れ

この変更を単体で見ると、便利なプロパティが増えた、という話で終わる。ただ、ここ一年ほどのCSSの動きを並べると、同じ方向を向いた変更が続いていることに気づく。

たとえば、並んだ要素に少しずつ時間差を付けて動かす書き方は、長らく要素の番号を手で書き並べるか、スクリプト側で遅延を計算するしかなかった。それが、自分が何番目の兄弟かをCSSの中で数えられる関数として一部のブラウザに入りはじめている。枠線の形をもっと自由に扱うための border-shape のような提案も議論が進んでいて、CSS-Tricksあたりでは繰り返し取り上げられている。

共通しているのは、見た目のために増やしていたマークアップやスクリプトを減らす方向だということだ。区切り線のための空の div、時間差のための番号付きクラス、位置合わせのための擬似要素。こうしたものは、書いた本人以外には意図が読み取りにくく、引き継いだ制作者が触りにくい部分でもあった。指定として名前が付くと、少なくとも何をしたかったのかは残る。

受け継いだサイトを触る側から見ると

制作会社としてありがたいのは、新規で作るときの快適さより、あとから触るときの読みやすさのほうかもしれない。他社が作ったサイトを引き継いで直す仕事では、擬似要素で引かれた線の位置が微妙にずれている、といった相談がわりとよくある。中身を追うと、当時の列数を前提にした番号指定が残っていて、その後の改修で列数だけが変わっていた、という筋書きだ。

すき間に線を引く指定が一行で済むなら、こうした置き土産は減っていく。すぐに全部を書き換える必要はないし、動いているものを触るリスクのほうが大きい場面も多い。ただ、次にそのブロックへ手を入れるとき、回避策を継ぎ足すのではなく、素直な指定に置き換えられる選択肢ができたのは小さくない。

新しい指定が出るたびに全部追いかける必要はないと思う。それでも、長く回避策で埋めてきた場所が正面から解決されたときは、覚えておくと後で効いてくる。区切り線はまさにその手の場所だった。