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WordPressの新版で増えた見た目まわりの指定

WordPressの新しいバージョンが8月19日に公開された。コードネームは「Mary Lou」で、ジャズピアニストのメアリー・ルー・ウィリアムスにちなんでいる。公式の発表によると、800人を超える貢献者が関わり、1500以上の改善と修正が入ったという。ここでは制作の現場で実際に触ることになりそうな変更を、いくつか並べて見ていく。

画面幅ごとのスタイルが標準の操作に

サイトエディターから、タブレットとモバイルの画面幅に対してブロックの見た目を指定できるようになった。グローバルスタイルでブロック種別ごとに設定することも、個々のブロックに設定することもできる。編集しながら表示幅を切り替えて確認する仕組みも付いている。

theme.json では @mobile@tablet というキーの下に入れ子で書く。@desktop にあたるキーは意図的に用意されていない。ブロックの既定のスタイルがそのままデスクトップのスタイルであり、上書きしなかった項目はどの画面幅でも効き続ける、という考え方になっている。

区切りの位置も theme.json の settings.viewport で変えられる。既定はモバイルが480px、タブレットが782pxで、px、em、rem の非負の長さだけが有効になる。CSSの関数や割合、単位なしの値は無視される。標準のブロックサポート(タイポグラフィ、色、背景、境界線、寸法、余白、レイアウト)を使っているブロックは自動で対応し、独自のスタイル操作を持つブロックは対象外になる。自作ブロックを確認するときの境界線はここになる。

ホバーや押した状態も扱えるようになった

あわせて、擬似的な状態のスタイル指定が入った。theme.json とエディターの両方から :hover、:focus、:focus-visible、:active を指定できる。ただし今のところ対象は Button ブロックと Navigation Link ブロックに限られている。

メニューの現在地を表すための独自状態の仕組みも入っているが、こちらは theme.json のみで画面上の操作はまだ用意されていない。今は存在を知っておく程度でよさそうだ。

背景まわりで長年の回避策が不要に

ブロックサポートに background.gradient が加わった。従来の color.gradient は background の一括指定として出力されるため background-image まで打ち消してしまい、ひとつのブロックで背景画像とグラデーションを同時に使えなかった。新しい方は background-image の個別指定として出力され、画像とグラデーションをカンマ区切りでまとめて書き出せる。Group、Accordion、Pullquote、Post Content、Quote が最初の対応組になっている。

ほかに dimensions.minWidth が min-height と同じ流儀で追加され、グローバルスタイルでは text-shadow も扱えるようになった。

新しいブロックと編集画面の土台

Playlist と Tabs が試験的な扱いから正式なブロックになった。Playlist は複数の音声をひとまとめに並べ、再生中の様子を波形で添えることもできる。Tabs はタブで内容を切り替える表示で、これまでプラグインに頼っていた場面をいくらか置き換えられそうだ。

編集画面側では、管理バーがすべてのエディターで表示され続けるようになった。投稿エディターは、テーマの種類や登録済みブロックのバージョンにかかわらず常に iframe の中で動く。内容によって切り替わっていた従来の挙動はなくなる。エディター用のスクリプトが動く文書とキャンバスの文書は別物なので、素の document や window を見に行っているコードは対象を取り違える。要素から ownerDocument や defaultView をたどる書き方への置き換えが要る。

管理画面まわりの細かい追加

wp_get_tooltip() と wp_get_toggletip() が追加され、これまでエディターの中にしかなかった説明の吹き出しを管理画面全体で使えるようになった。前者はアイコンだけの操作に読み上げ可能な名前を与えるもの、後者は補足説明を開くボタンを添えるもので、コア自身も投稿画面のメタボックスやログイン画面のチェックボックスで使っている。

Navigation ブロックが子のリンクにフォントサイズを渡さなくなった点も、テーマを作っている人には効いてくる。相対単位が入れ子で掛け算になり、編集画面と表示側で文字の大きさが食い違う原因になっていた。has-{slug}-font-size を直接狙っているテーマは、開発者向けノートにある従来の挙動を戻すフィルターを見ておくとよい。

更新の前に、独自ブロックや管理画面を拡張しているプラグインを一度試しておきたいところだ。画面幅ごとの指定がコアに入ったことで、追加CSSで抱え込んでいた部分をテーマ側に戻せる場面は増えそうに思う。

[1994-2002]
ITベンチャーの幹部として、8年間で数名の企業を500名以上の企業に成長させることに貢献。95年より独学でwebデザインを学ぶ。

[2002-2023]
米国法人のwebデザイン会社のCEOを務め数々の賞を受賞。

[2023〜]
AI事業開始に伴い、つくば市を拠点として株式会社RESONIXを起業。