ゲスト購入した注文をあとから会員に紐づけられるように

つくば市のホームページ制作会社

ウェブショップを動かすWooCommerceの新しい版、11.0が公開されました。八月四日付の公開で、551件の変更が取り込まれ、89人が関わった大きめの更新です。中身は目新しい機能を足すより、土台の整理と積み残しの解消に寄っています。その中で買い物客の側から見て分かりやすいのが、ゲスト購入まわりの扱いの変化です。

WooCommerceには以前から、購入手続きを終えたあとにアカウントを作れる仕組みが用意されていました。11.0ではそこから一歩進んで、購入者が過去のゲスト注文を自分で探し出し、メールアドレスの確認を経てアカウントに結び付けられるようになっています。会員登録を後回しにしたまま何度か買い物をした人でも、あとから注文履歴を一つにまとめられる、という流れです。店舗側で名寄せの問い合わせに対応していた手間が、そのぶん減る可能性があります。

規模の大きい店舗向けの速度改善も入りました。内部の問い合わせの最適化、Store APIの改善、注文処理を通した在庫状態の扱いの見直しが挙げられており、商品数や注文数が増えるほど効いてくる部分です。ほかに、計測の取りこぼしを減らす調整、返金を売上の集計に反映する変更、取り込みに失敗した過去データをやり直せる仕組みも含まれています。

直後に出た修正版もあわせて

その六日後には11.0.1が出ています。こちらはセキュリティ更新の扱いで、ゲストのセッションcookieがソルト付きのより強いハッシュに変わりました。古いcookieは期限が切れるまで有効なままなので、更新をまたいでもゲストのカートは残ります。ほかにも、商品の短い説明にもパスワード保護が及ぶようになった点、Store APIでクーポンの利用回数の上限が正しく適用されるようになった点、カートや購入手続きのブロックに表示される通知の中身が安全に処理されるようになった点が並びます。ログの書き込みのたびにフォルダ全体を走査しなくなり、記録がたまった店舗で購入手続きが重くなりにくくなった改善も入りました。あわせて、次のWordPress 7.1に向けた互換性の調整も進んでいます。注文一覧が新しい一覧表の記述に合わせられた、といった地味な内容ですが、本体の更新を控えている店舗にとっては先に当てておきたい版といえます。

会員登録を必須にすると買い物の途中で離れられやすい、という悩みは店舗の規模を問わず共通です。ゲストのまま買えるようにしておき、必要になったときに履歴をアカウントへ寄せられる作りは、無理のない落としどころだと感じます。会員向けの案内やクーポンを届けたい店舗にとっても、購入のハードルを上げずに接点を作れる余地が広がります。一方で、注文とアカウントを結び付ける処理はメールアドレスの確認を挟むとはいえ個人情報に触れる部分なので、公開前に自分の店舗の設定で挙動を一度確かめておきたいところです。11.0はデータベースの更新を伴うため、控えを取ったうえで検証環境から順に試すのが安全です。

更新前に確かめておきたいWordPressの挙動変更

つくば市のホームページ制作会社

WordPressの次の版が8月19日に公開される予定で、いまは公開直前の候補版が配布され、検証が進んでいる段階です。新機能の紹介はあちこちで出そろってきましたが、制作の現場で先に気になるのは、いま動いているサイトのどこが変わるかのほうではないでしょうか。

公式の開発者向けまとめを読むと、機能追加とは別に、既存のテーマやプラグインが前提にしていた作りが静かに変わる箇所がいくつかあります。派手な話ではありませんが、当たっていると管理画面の見た目や動きに出ます。更新前に目を通しておきたいものを並べてみます。

投稿の編集画面が常に枠の中で動く

これまでは、テーマの種類やブロックの版によって、投稿編集画面がiframeの中に入るかどうかが切り替わっていました。次の版では条件によらず常に枠の中で動きます。どちらになるか読めない状態が解消されるのは扱いやすくなる方向の変更です。

ただし、編集画面に独自の見た目を足している場合は挙動が変わる可能性があります。enqueue_block_editor_assetsのような正規の入口から読み込んでいれば影響は小さいはずですが、管理画面全体のCSSに紛れ込ませていたり、親の画面を直接触るスクリプトを書いている場合は、実際に開いて確かめておくのが早いです。

一覧画面の表の作りが変わる

投稿一覧などの表で、行の見出しとして扱われるセルが、チェックボックスの列からタイトルの列へ移ります。読み上げたときの筋道としては素直になる変更ですが、列の位置を決め打ちしたセレクタに頼っている拡張は影響を受けることがあります。

一覧に独自の列を足すプラグインは、中小企業のサイトでもよく入っています。受注状況や公開予定日を一覧に出すような作り込みをしている場合は、更新前に検証用の環境で開いてみる価値があります。

管理画面の入力部品の大きさがそろう

管理画面の部品群では、大きさを指定していたプロパティが役目を終え、フォーム部品は一律で40ピクセルの高さで描かれるようになります。小さめの指定は渡しても効かなくなり、非推奨の扱いになります。

独自の設定画面を持つプラグインを作っている場合、詰めて並べていた入力欄の高さが変わり、レイアウトが縦に少し伸びることがあります。壊れる類の変更ではありませんが、二列に並べていた部分の折り返しなど、見た目の調整が必要になるかもしれません。

ナビゲーションの文字サイズの効き方が変わる

ナビゲーションのブロックが、子の項目に自分の文字サイズを押し付けなくなります。入れ子のドロップダウンで文字サイズが掛け算のように効いてしまい、階層が深いほど不自然に大きくなる、あるいは小さくなるという問題への対処です。

回り道の指定でごまかしていた部分が本体側で正されるのはありがたい変更ですが、裏を返せば、更新後にメニューまわりの見た目が変わるサイトはあるということです。納品済みのサイトが複数ある制作者は、階層メニューを持つものだけでも一度目視しておきたいところです。

実験段階だった機能が正式に使えるようになる

タブとプレイリストのブロックが実験扱いから外れ、標準の部品として使えるようになります。加えて、背景にグラデーションと画像を重ねられる指定や、ブロックの最小幅を指定できる仕組みも増えました。管理画面に説明の吹き出しを出すための関数も用意され、読み上げに配慮した形で組み込めるようになっています。

これまで小さなプラグインや自作のブロックで賄っていた部分が、本体側だけで足りるようになるかもしれません。プラグインの数を減らせれば更新の手間も脆弱性の窓口も減るので、棚卸しのきっかけにはなりそうです。

公開までは一週間ほどです。候補版は検証用に配布されているので、複雑なテーマや作り込んだ管理画面を抱えているサイトは、本番の更新を待つ前に複製した環境で一度開いておくと、当日は落ち着いて臨めます。

WordPressの土台にあるReactの入れ替えが先送りになった

つくば市のホームページ制作会社

WordPressの管理画面、とくにブロックエディタの中身は、Reactというメニューや画面部品を組み立てるためのJavaScriptライブラリで動いています。そのReactを新しい世代に入れ替える作業がしばらく進められていたのですが、8月に予定されている次のWordPressには入らないことになりました。開発チームが7月下旬にMake WordPress Coreで経緯を公開しています。

いったんはGutenbergプラグインの側で新しい世代に切り替えてみたものの、想定していなかった不具合が続けて報告され、数日で元に戻されたとのことです。原因として挙げられているのは大きく二つ。ひとつは、プラグインがReactの部品をWordPress本体から借りずに自前で同梱していたケースで、この場合は古い世代と新しい世代が同じ画面の中で同時に動いてしまい、内部のデータの持ち方が食い違って壊れます。もうひとつは、新しい世代で廃止された古い書き方が、プラグイン側にそのまま残っていたケースです。文字列で書くref、関数コンポーネントへのdefaultProps、旧来のcontextの定義などが具体例として挙がっています。

本体は当面そのまま、試したい人には実験用のスイッチ

そのため、次のWordPressは従来どおりのReactを載せたまま出ます。切り替えを先に試しておきたい開発者向けには、Gutenbergプラグインの23.4以降に実験用のスイッチが用意されました。設定画面から有効にすると、本体が配っている部品だけが新しい世代に差し替わり、公開済みのプラグインが将来直面する状況をそのまま再現して確かめられます。あわせて、公式のPlugin Checkプラグインには、問題になりやすい書き方を自動で見つける検査を追加する作業が進められています。手作業で全部を洗い出さなくてよくなったのは、地味ですが助かる変更です。

サイトを運用している立場からすると、今回のニュースは特に何かをする話ではありません。ただ、独自のブロックや管理画面の拡張を自作している、あるいは制作会社に作ってもらっている場合は、事情が少し変わります。いずれ切り替えは来るので、その前に一度実験用のスイッチで動作を確かめ、ブラウザのコンソールにエラーが出ていないかを見ておくと、あとで慌てずに済みます。ブロックエディタまわりのカスタマイズは、こうした土台の入れ替えの影響をまっすぐ受ける場所です。

互換性の問題が見つかった時点で無理に押し通さず、二日で元に戻して検証期間を取り直したという判断は、更新のたびに現場が振り回されないという意味ではありがたい話でもあります。管理画面が急に開かなくなったときに困る度合いは、社内に専任の担当を置きにくい中小企業のサイトほど大きくなります。派手さのない先送りですが、その裏側を眺めておくと、次に来る更新への構え方も少し変わってきます。