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編集画面のキー操作をブロック側から宣言できる

WordPressのブロックエディターで段落を選び、Alt+Shift+2 を押すと見出し2に変わる。この操作自体は2022年から使えていたのだが、仕組みとしては少し変わった作りになっていた。変換の中身が非公開のコンポーネントに直接書き込まれていて、しかもそのコンポーネントを各エディターパッケージがそれぞれ描画する必要があった。つまり標準のブロックだけが持つ固定の挙動であって、外から足せるものではなかったということになる。自作ブロックに似た変換を用意したくても、正規の入り口が存在しなかった。

9月2日に公開された Gutenberg 23.9 で、この部分が宣言できるAPIに置き換わった。宣言の場所は二か所あり、渡す名前も異なる。ブロックのバリエーションを登録するときは shortcut という単数形のオブジェクトを渡し、変換(transforms)の側には shortcuts という配列を渡す。押すキーは keyCombination に修飾キーと文字を書き、あわせて画面に出る説明文も持たせる形になっている。ショートカット名は既存の命名にならって、どの機能に属する変換なのかが読み取れる文字列を付ける。

宣言できるようになると何が変わるか

変換側の定義には variationName も添えられる。これがあるおかげで、ひとつの変換定義に六つのショートカットを持たせても、ブロック切り替えメニューに同じ項目が六つ並ぶようなことにはならない。見出しのレベル違いのように、実体はひとつで見え方だけ複数あるブロックを扱うときに効いてくる部分だ。裏側の登録と、編集者が画面で実際に目にする選択肢を切り離して考えられるようになった、と言い換えてもいい。登録の都合が編集画面の見づらさとして表に出てこない、というのは地味だが大きい。

実務で効いてくるのは、制作側が用意したカスタムブロックにも標準ブロックと同じ操作感を持たせられる点だろう。記事や商品ページを日常的に更新する担当者にとって、よく使うブロックへの切り替えがキーボードだけで完結するかどうかは、思っているより作業時間に響く。これまで標準ブロックだけが持っていた快適さを、案件ごとに用意したブロックにも回せるようになる。マウスをあまり使わずに書く人にとっても、追加したブロックが操作の流れから外れずに済むという意味がある。

注意しておきたいのは、これが現時点ではGutenbergプラグイン側の更新だという点だ。WordPress本体に入るのは次のメジャーである7.2で、ベータ版は10月20日から22日、正式版は12月8日から10日のあいだが予定されている。今すぐ本番のサイトで使う話ではないが、自社ブロックを抱えている制作者であれば、この秋のうちに書き方を確かめておいて損はない。内部に閉じていた挙動を公開された宣言に移していく流れは、インナーブロックのテンプレート指定がブロックタイプの設定側へ移ったことにも表れていて、7.2の開発が本格化するこれからしばらくは、同じ方向の変更が続きそうだ。

[1994-2002]
ITベンチャーの幹部として、8年間で数名の企業を500名以上の企業に成長させることに貢献。95年より独学でwebデザインを学ぶ。

[2002-2023]
米国法人のwebデザイン会社のCEOを務め数々の賞を受賞。

[2023〜]
AI事業開始に伴い、つくば市を拠点として株式会社RESONIXを起業。