WordPress 7.1 が8月19日に公開され、投稿の編集画面まわりに地味ながら影響範囲の広い変更が入った。投稿エディタが、条件にかかわらず常に iframe の中で動くようになったことだ。画面の見た目はほとんど変わらないので気づきにくいが、ブロックを拡張するプラグインや自作ブロックを抱えているサイトでは挙動が変わる可能性がある。
これまでは記事の中身しだいで切り替わっていた
WordPress はここ数年、編集画面を少しずつ iframe の中へ移してきた。最初に移ったのはテンプレートエディタで、5.8 のときだった。その後サイトエディタや端末別のプレビューも常時 iframe 化され、最後まで残っていたのが投稿の編集画面だった。
7.0 の時点では、投稿に挿入されているブロックのブロック API のバージョンを見て判断していた。挿入済みのブロックがすべて API バージョン3以上なら iframe 化し、それより古いブロックがひとつでも混ざっていれば互換性を優先して iframe をやめる、という仕組みだ。つまり同じサイトの中でも、記事の中身によって編集画面の作りが変わっていたことになる。
7.1 からはこの条件分岐がなくなった。テーマの種類にも、登録されているブロックの API バージョンにも、本文に入っているブロックにも関係なく、投稿の編集画面は常に iframe になる。従来ながらのメタボックスを登録しているサイトも対象に含まれる。
切り離すことで何が変わるのか
iframe は別の HTML 文書を画面の中に読み込む仕組みで、中と外でスタイルの適用範囲が分かれる。編集画面を iframe に入れると、管理画面側の CSS が本文の表示に混ざり込まなくなる。ビューポート単位やメディアクエリも、ブラウザのウィンドウ幅ではなく編集領域そのものの幅を基準に効くようになる。
編集画面の見た目と公開後の見た目をそろえるという点では、筋のいい方向だと思う。7.1 ではタブレットとモバイルの表示を theme.json 側から指定できる仕組みも入っており、幅の判定基準をはっきりさせる必要はもともと高まっていた。条件によって iframe になったりならなかったりする状態のままでは、同じテーマでも記事ごとに確認結果が変わりかねない。
つまずくとしたら document と window のあたり
公式の開発者向け案内によると、ほとんどのブロックは手を入れなくても iframe 化された編集画面で動くとされている。問題が出る場合も、原因はだいたい同じところに行き着くという。iframe は自前の document と window を持っており、編集画面のスクリプトが動いている管理画面側とは別物だ、という点だ。
グローバルな document や window をそのまま参照して編集領域の要素を触っているコードは、意図しない側の文書を見に行ってしまう。対処としては、編集領域の中にある要素から ownerDocument とその defaultView をたどって正しい文書を取得する方法と、イベントリスナーの登録と解除を useRefEffect で行う方法が案内されている。自作ブロックやエディタ拡張を納品している制作者なら、更新前に手元の環境で開いて確かめておきたいところだ。
なお Gutenberg プラグインでは 22.6 以降、プラグインが有効な環境では投稿エディタを強制的に iframe 化する挙動が先行して入っていた。互換性の問題を早めに表面化させ、コアに入る前に報告してもらうためだという。プラグイン版を入れて運用していたサイトは、すでにこの状態を通ってきていることになる。
一覧画面の行見出しも入れ替わっている
同じ 7.1 では、投稿一覧の表の組み立ても変わった。行の見出しを担う、scope 属性が row の th 要素が、チェックボックスの列からタイトルの列へ移っている。チェックボックスのセルは td になり、タイトルのセルが th になって、投稿タイトルを aria-label として持つ形になった。
読み上げソフトが各行をチェックボックスではなく投稿名で認識できるようになるので、アクセシビリティの面では順当な改善だ。ただしこのあたりの markup は2010年ごろからほとんど動いていなかった部分で、一覧画面に独自の列を足すプラグインや、管理画面向けに書いた CSS が暗黙のうちに依存している場合がある。チェックボックス列のクラスを狙っているセレクタや、投稿タイトルが td の中にある前提で書いた JavaScript があれば、更新後に一度見ておくと安心だ。
中小企業のサイト運用では、編集画面まわりの変更は不具合として上がってくるより先に、なんとなく使いにくくなったという曖昧な形で相談が来ることが多い。更新後に自分で新規投稿を一本開いて、普段使っているブロックとプラグインがいつもどおり動くかを確かめておく。それだけで、たいていの不安は先回りして片付けられる。













