WordPressの管理画面、とくにブロックエディタの中身は、Reactというメニューや画面部品を組み立てるためのJavaScriptライブラリで動いています。そのReactを新しい世代に入れ替える作業がしばらく進められていたのですが、8月に予定されている次のWordPressには入らないことになりました。開発チームが7月下旬にMake WordPress Coreで経緯を公開しています。
いったんはGutenbergプラグインの側で新しい世代に切り替えてみたものの、想定していなかった不具合が続けて報告され、数日で元に戻されたとのことです。原因として挙げられているのは大きく二つ。ひとつは、プラグインがReactの部品をWordPress本体から借りずに自前で同梱していたケースで、この場合は古い世代と新しい世代が同じ画面の中で同時に動いてしまい、内部のデータの持ち方が食い違って壊れます。もうひとつは、新しい世代で廃止された古い書き方が、プラグイン側にそのまま残っていたケースです。文字列で書くref、関数コンポーネントへのdefaultProps、旧来のcontextの定義などが具体例として挙がっています。
本体は当面そのまま、試したい人には実験用のスイッチ
そのため、次のWordPressは従来どおりのReactを載せたまま出ます。切り替えを先に試しておきたい開発者向けには、Gutenbergプラグインの23.4以降に実験用のスイッチが用意されました。設定画面から有効にすると、本体が配っている部品だけが新しい世代に差し替わり、公開済みのプラグインが将来直面する状況をそのまま再現して確かめられます。あわせて、公式のPlugin Checkプラグインには、問題になりやすい書き方を自動で見つける検査が追加されています。手作業で全部を洗い出さなくてよくなったのは、地味ですが助かる変更です。
サイトを運用している立場からすると、今回のニュースは特に何かをする話ではありません。ただ、独自のブロックや管理画面の拡張を自作している、あるいは制作会社に作ってもらっている場合は、事情が少し変わります。いずれ切り替えは来るので、その前に一度実験用のスイッチで動作を確かめ、ブラウザのコンソールにエラーが出ていないかを見ておくと、あとで慌てずに済みます。ブロックエディタまわりのカスタマイズは、こうした土台の入れ替えの影響をまっすぐ受ける場所です。
互換性の問題が見つかった時点で無理に押し通さず、二日で元に戻して検証期間を取り直したという判断は、更新のたびに現場が振り回されないという意味ではありがたい話でもあります。管理画面が急に開かなくなったときに困る度合いは、社内に専任の担当を置きにくい中小企業のサイトほど大きくなります。派手さのない先送りですが、その裏側を眺めておくと、次に来る更新への構え方も少し変わってきます。













