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バックアップを戻すときに動き出す脆弱性

サイトの引っ越しやバックアップで広く使われているプラグイン、All-in-One WP Migration and Backup に深刻な脆弱性が見つかり、開発元の ServMask がバージョン 7.110 で修正した。識別番号は CVE-2026-19949、影響を受けるのは 7.109 までのバージョンで、深刻度の指標は 8.8 とされている。有効インストール数が 500 万件を超える定番だけに、預かっているサイトのどれかに入っている、という制作者は少なくないはずだ。

見つけたのはセキュリティ研究者の Jack Taylor 氏で、Wordfence を通じて 8 月半ばに開発元へ伝えられ、8 月 20 日に修正版が公開された。報じられている Wordfence の説明によると、原因はアーカイブを復元する際にデータベースの中身を書き換える処理にあり、エスケープされたバックスラッシュや引用符の解釈が正しくなかったという。

仕込みと発動がずれているところが厄介

この脆弱性が少し変わっているのは、攻撃が二段構えになっている点だ。ログインしていない第三者でも、トラックバックを使って細工したデータを投稿に紐づけて置いておける。置かれた時点では何も起きない。管理者がサイトを書き出し、別の環境に取り込んだその瞬間に、保存されていた文字列が SQL として動き出す。

その結果、プラグインが内部で使う取り込み用の秘密キーが公開コメントとして表に出てしまう可能性がある。キーを手に入れた側は、実行可能なコードを含んだ .wpress ファイルを取り込ませることができ、最終的にサイトを掌握される恐れがあると説明されている。バックアップと復元はこのプラグイン本来の用途そのものなので、いつかは引かれる引き金だと考えておいたほうがいい。

BleepingComputer の集計では、修正版が出てしばらく経った時点でも更新を済ませたのは利用者のおよそ 3 割で、残る 325 万件ほどが古いまま動いていた。バックアップ系のプラグインは普段の運用で触らないぶん、入れたまま忘れられやすい。停止していれば危険度は下がるものの、一時的に有効化すれば同じ経路が開くとも指摘されている。移行の予定がなくても、管理画面を開いてバージョンを確かめる価値はある。自動更新を切っている運用では、ここが抜けたままになりやすい。

実務でもうひとつ気をつけたいのが、手元に残っている古いアーカイブの扱いだ。細工されたデータは投稿に紐づく形でデータベースに入るため、すでに書き出した .wpress の中に紛れ込んでいる可能性がある。修正版に上げてから取り込めば処理する側は安全になるが、まずテスト環境に流して様子を見るくらいの慎重さはあってよいと思う。複数のサイトを預かっている制作会社であれば、このプラグインが入っている案件を洗い出すところから始めるのが早い。移行や復旧のために入れて、そのまま残っているケースも案外あるはずだ。

[1994-2002]
ITベンチャーの幹部として、8年間で数名の企業を500名以上の企業に成長させることに貢献。95年より独学でwebデザインを学ぶ。

[2002-2023]
米国法人のwebデザイン会社のCEOを務め数々の賞を受賞。

[2023〜]
AI事業開始に伴い、つくば市を拠点として株式会社RESONIXを起業。