ウェブサイトのHTTPS化に使う証明書は、一度設定してしまえばあとは自動更新に任せきり、という運用が多いと思います。ところがここ数年、その有効期間を短くしていく動きが業界全体で進んでいて、更新が止まったときに表面化しやすい環境へ変わりつつあります。
7月に入ってからも、無料の証明書として広く使われているLet’s Encryptで一つ区切りがありました。証明書まわりで決まっている予定を、順に並べて見ていきます。
有効期間の上限が段階的に下がる
証明書を発行する認証局とブラウザベンダーが集まるCA/Browser Forumは、2025年4月に有効期間を段階的に短縮する日程を可決しています。これまで最長398日だった上限は、2026年3月15日から200日、2027年3月15日から100日、2029年3月15日からは47日になります。
あわせて、ドメイン所有の確認結果を使い回せる期間も短くなります。ドメイン検証の再利用は2026年に200日、2027年に100日、2029年には10日まで縮む予定です。証明書の寿命だけでなく、確認作業そのものの頻度も上がるということです。
短くする理由は、鍵が漏れたときに悪用され続ける期間を限定することと、失効の仕組みに頼りきらずに済むようにすることだとされています。
Let’s Encryptはさらに先を行く日程を出している
Let’s Encryptの公表によると、現在の90日はさらに短くなる予定です。2027年2月10日に既定のプロファイルが64日へ、2028年2月16日には45日になるとされています。先に試したい向きには、2026年5月13日から45日の証明書を受け取れるプロファイルも用意されました。
同時に、更新の推奨時期を認証局側から知らせる仕組み(ACME Renewal Information)を使うことがすすめられています。クライアントが決め打ちした間隔で回すのではなく、認証局が示すタイミングに合わせて更新する形です。
クライアント認証向けの証明書は入手先が変わった
7月8日、Let’s Encryptはクライアント認証(TLS Client Authentication)の用途に使える証明書の発行を終了しました。暫定的に残されていた専用のプロファイルも、この日で廃止されています。
背景には、サーバー用途とクライアント用途で証明書の階層を分けるという、ブラウザ側のルート証明書プログラムの要件があります。ウェブサイトを公開するために使う証明書はサーバー用途なので、通常のサイト運用に影響はありません。
影響が出るのは、機器やAPIの相互認証、VPNの接続認証などにLet’s Encryptを流用していた場合です。手元の証明書が切れた時点で更新できなくなるため、別の発行元へ移す必要があります。
手作業での更新は現実的でなくなる
45日や47日という期間になると、更新は年に8回前後発生します。カレンダーに予定を入れて手で差し替える運用は、まず続きません。自動更新を前提に組み直しておくのが無難です。
自動化するときの目安として、Let’s Encryptは有効期間の3分の2ほど過ぎた時点での更新を挙げています。加えて、更新が失敗したときに気づける監視を用意しておくことも案内されています。自動更新は動いている間は何も言ってこないので、止まったことに気づけない構成が一番こわいところです。
中小規模のサイトで確認しておきたいところ
共有レンタルサーバーの管理画面から証明書を発行している場合、更新はサーバー側の仕組みに任されています。まずは自動更新が有効になっているか、管理画面で状態を見ておくと安心です。契約プランによっては手動更新のままになっていることもあります。
自前のサーバーやVPSでcertbotなどを動かしているなら、実行間隔の見直しどころです。90日を前提に月1回程度で組んでいると、45日の証明書では余裕がなくなります。日次で実行して更新時期が来たものだけ更新する形にしておけば、期間が変わっても影響を受けません。
それから、証明書の有効期限を外側から監視しておくこと。更新の自動化と期限の監視は別の話で、後者があると、どこか一箇所で自動化が壊れたときに訪問者より先に気づけます。日程表を眺めると先の話に見えますが、更新の仕組みを触るのは余裕のある今のうちが手戻りも少なくて済みそうです。













