サーバー証明書の寿命が段階的に短くなる

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証明書の更新は、自動で回っていれば存在すら忘れている作業だ。だが期限を管理表に書いて、年に一度手で入れ替えている現場もまだ珍しくない。その前提が、これから数年かけて成り立たなくなる。

Let’s Encryptが公開している証明書プロファイルの解説ページが9月8日付で更新され、いま選べる発行方式と、それぞれの有効期間や制約が改めて整理された。同じページには業界共通の上限値も書かれている。公開されているTLS証明書の有効期間は現在200日が上限で、2027年3月15日以降に発行するものは100日、2029年3月15日以降は47日までしか持てない。

上限が下がる日程はすでに決まっている

この段取りを決めたのは、認証局とブラウザベンダーが参加するCA/Browser Forumで2025年4月に可決された議案である。告知によると、公開TLS証明書の最大有効期間を398日から47日へ、2026年3月から2029年3月にかけて段階的に引き下げる内容になっている。認証局側は30票のうち25社が賛成で反対はゼロ、ブラウザ側はApple、Google、Microsoft、Mozillaの4社すべてが賛成した。特定の一社の方針ではなく、証明書を発行する側と検証する側の双方が合意した既定路線ということになる。

縮むのは証明書の寿命だけではない。ドメインの管理権を確認した結果を使い回せる期間、いわゆる認可情報の再利用期間も同時に短くなる。こちらは現在200日で、2027年3月15日以降は100日、2029年3月15日以降は10日になる。寿命が縮むだけなら更新の回数が増えて終わりだが、確認結果まで使い回せなくなると、ドメイン確認の手続きそのものを何度も走らせることになる。運用への影響は、むしろこちらのほうが重い。

短くする理由は失効の仕組みが当てにならないから

議案の背景説明は、なぜ寿命を削るのかをかなり丁寧に書いている。要点は、証明書が発行時点の事実を写し取ったものにすぎない、という指摘だ。時間が経つほど、証明書に書かれた内容と実際の状況はずれていく。ドメインが手放された、鍵が第三者の手に渡ったといった変化が起きても、証明書のほうは期限まで有効なままになる。

本来そのずれを埋めるのが失効の仕組みだが、これが十分に働いていないという評価が示されている。失効情報を配る仕組みは、閲覧者の側が第三者のサーバーへ問い合わせを出す必要があり、応答が遅れたり届かなかったりする。外部の読み込みが多いページでは表示速度にも響く。失効させるべき証明書が期待どおりに失効されない例もあると書かれている。それに対して有効期限そのものは、閲覧側が確実に守る。だから期限を短くするほうが、失効の通知に頼るより確実だという整理になっている。

もう一つ挙げられているのが、暗号方式の入れ替えを速く進められることだ。使っているアルゴリズムや実装に弱点が見つかったとき、寿命の短い証明書のほうが世代交代は早く片づく。ここも個々のサイトの都合というより、仕組み全体をどう保つかという話として書かれている。

用意された三つの発行方式

Let’s Encryptが2015年の開始時から90日という期間を選んできたのは、自動化を促すには十分に短く、それでいて手作業でも回せる程度には長い、という判断からだったと自ら説明している。当時は自動化の道具立てがまだ若かった。いまは事情が違うので、90日より短い選択肢を出すことにも抵抗がなくなった、という理由づけになっている。

現在の既定はこれまでどおりのclassicで、有効期間は90日、認可情報の再利用は30日、証明書に載せられる名前は100件までとされている。新しく用意されたtlsserverは、有効期間が45日、認可情報の再利用が7時間まで詰められている。再利用が7時間なのは、認証局が8時間ごとにCAAの再確認を求められているためで、再利用期間をその手前で切っておけば再確認の手間が要らなくなる、という理屈が説明されている。証明書の中身も整理されていて、別欄と重複するコモンネーム、いまのブラウザでは使われない鍵用途の指定、末端の証明書では意味を持たない鍵識別子の拡張が省かれている。ファイルとしては小さくなる方向だ。

三つめのshortlivedは、有効期間が160時間、つまり6日あまりしかない。ここまで短いと失効情報を載せる必要がないという扱いになり、証明書はさらに小さくなる。IPアドレスに対する証明書もこの方式でのみ発行される。IPアドレスはドメインより移り変わりが早いので、確認の頻度を上げたいという判断だそうだ。ただしtlsserverもshortlivedも、載せられる名前は25件までに絞られている。サブドメインを多数まとめて一枚に収めている構成では、ここで引っかかる可能性がある。

既定の九十日が切り替わる日も告知済み

切り替えの日程も先に出ている。2026年5月13日にtlsserverが45日発行へ移り、2027年2月10日には既定のclassicが64日発行、認可情報の再利用10日へ変わる。さらに2028年2月16日にclassicも45日、再利用7時間になる予定だ。いずれも新規発行分から適用されるので、実際に短い証明書を受け取るのはその日以降の最初の更新時ということになる。

つまり、何も設定を変えていないサイトでも、2027年2月を境に証明書は90日から64日へ、2028年にはさらに45日へと自動的に短くなる。利用者側に特別な作業を求めるものではないと書かれてはいるが、更新の周期を前提にした仕掛けを持っているなら、そこは確実に影響を受ける。なお、TLSクライアント認証の用途を含んでいた発行方式は2026年7月8日で提供を終えている。使っていた環境があれば、すでに切り替えが済んでいるはずの部分だ。

更新間隔を決め打ちした設定を見直す

実務として一番効いてくるのは、更新のタイミングをどう決めているかだ。告知では、たとえば60日という固定の間隔で更新している設定は、45日の証明書に対しては成り立たなくなると名指しで書かれている。妥当な動きとして挙げられているのは、有効期間のおよそ三分の二を過ぎたあたりで更新する、という決め方だ。

推奨されているのはARIと呼ばれる仕組みで、いつ更新すべきかを認証局の側から受け取れる。対応しているかどうかも、有効にする方法も、使っているクライアントによって違うとされている。中小規模のサイトでは、証明書の取得をレンタルサーバーの管理画面やホスティング事業者側の仕組みに任せていることが多い。その場合に確かめておきたいのは、事業者がこの仕組みに対応しているか、していないなら更新の間隔がどう設定されているか、という点になる。

もう一つ、期限切れに気づける経路があるかどうかも書かれている。更新が想定どおりに走らなかったときに、知らせが飛ぶ状態になっているか。更新の回数が年に4回から8回、さらにその先へと増えていけば、たまたま失敗した一回が期限切れに直結する確率も上がる。気づいてから手で直せる猶予は、着実に短くなっていく。

手作業の余地が消えていく

手動での更新は推奨しない、と告知にははっきり書かれている。寿命が短くなるほど手作業の回数が増えるからだ。とはいえ、自動化を阻んでいるのは面倒くささだけではない。ドメインの管理権を確認する方法はどれも、クライアントが実際の設備へ触れる必要がある。所定のファイルを置く、TLSの応答を返す、DNSのレコードを書き換える。いずれも権限を渡すことになるので、そこを避けたくて手作業を続けている現場は少なくないはずだ。

この点については、DNS-PERSIST-01という新しい確認方式の標準化が進んでいることが告知されている。更新のたびにDNSのTXTレコードを書き換える必要がなく、一度置けばそのまま使い続けられるのが特徴だ。DNSを自動で書き換える手段を持たない環境でも自動更新に乗れるようになるとされていて、2026年中の提供が見込まれている。DNSの操作権限を外部に渡さずに済むなら、運用を分担している案件でも取り回しは楽になる。

証明書の期限が近いという連絡を年に一度受け取って、手で入れ替える。その段取りは、あと数年で現実的でなくなる。すでに自動更新が回っているサイトなら、確かめるべきは更新の判断基準と、失敗したときに気づける経路の二つで足りる。まだ手で回している環境が残っているなら、上限が200日ある今のうちが、移行を考える時間としては一番余裕がある。

WordPressの修正版はこうして準備されている

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WordPress 7.1が公開されたのは8月19日だった。それからひと月も経たないうちに、次に来る修正版である7.1.1の日程が公表されている。9月2日に出た告知には、バグを仕分ける作業日の日取りから一般公開の予定日までが一覧で並んでいる。大きな更新のニュースは目にしても、その後始末の予定まで公開されていることは意外と知られていない。

修正版の日程は前もって示される

公表された予定では、9月3日と4日、8日、9日、15日にバグの棚卸しにあたる作業日が置かれ、9月10日にリリース候補版、9月17日に7.1.1の一般公開という並びになっている。時刻はいずれも協定世界時での目安で、実際の時間は担当者の都合によって前後する可能性があるとも添えられている。

この予定が出る前、8月20日の時点では「9月1日から24日のあいだ」という幅のある見通ししか示されていなかった。報告されたバグの深刻さと数を見てから時期を決めるという方針があるためだ。公開後に寄せられた報告の量と深刻さから、修正版は習慣的に準備すべきだと判断された、という書き方になっている。幅のある見通しが具体的な日付へ絞り込まれていく過程が、そのまま外から追える状態に置かれている。

入るものと入らないものが決まっている

7.1.1はバグ修正だけの修正版だと明記されている。対象になるのは7.1の開発期間中に持ち込まれた不具合か、7.1の締め切りの時点で意図的に先送りされた項目に限られる。新しい機能はここには入らない。何が候補になっているかは、不具合の追跡システムの一覧や編集画面まわりの作業ボードから追えるようになっている。

7.1は機能の追加が多い版だった。表示まわりでは画面幅ごとの指定が入り、切り替えの基準となる幅をテーマ側で決められるようになっている。投稿の編集画面も枠内で読み込む形に一本化された。触る範囲が広い更新のあとに報告が集まりやすいのは自然なことで、修正版の枠が早めに用意されるのはその裏返しでもある。

目を引くのは、9月8日の作業日に7.1.2の枠を開き、そこで一部の項目を先送りすると最初から告知している点だ。締め切りに間に合わないものは次に回すという判断が、あらかじめ日程に組み込まれている。直すべきものを溜め込まず、期限で区切って次の枠へ送る。規模の小さい制作現場の案件管理にも、そのまま持ち込める考え方だと思う。

少人数で回っている工程

大型更新の体制と比べると、修正版のチームはかなり小さい。担当者は1人から3人程度になることが多いと説明されている。仕事の中身は、コミッターや各機能の担当と連携してバグを仕分けること、公開のお知らせを書くこと、公開当日の作業を準備して進めること、そして次回のために手順書を更新することとされている。

大型更新に関わった人がそのまま残ることが多いものの、必須ではなく、大型更新の経験がなくても志願できると書かれている。バグの棚卸しは公開された相談部屋で行われ、自分で棚卸しの場を開いてもよいとされている。翻訳が足りていない言語があるという案内も添えられていた。ふだんは使うだけの側から見ると、公開までの手順がここまで読める状態になっていること自体が珍しい。

受け取る側の準備

小さな更新は自動で当たる設定のまま運用しているサイトが多いはずだ。実際、7月17日に出た7.0.2では深刻度の高い問題が含まれていたため、影響を受けるバージョンに対して強制的な更新が実施されている。8月6日の7.0.3では、さらに十数件の修正が入った。放っておいても当たる前提で組まれている以上、現場の役目は「更新するかどうか」ではなく「当たったあとで崩れていないか」を見に行くほうへ寄る。

更新の当たり方はサイトごとに違う。保守を受けている環境では自動更新を止めている場合もあるし、逆に管理する側で一括して当てている場合もある。どちらであっても、修正版が出る日が前もって分かっていれば、確認の予定をその前後に寄せておける。

その意味で、リリース候補版が出る9月10日から一般公開までのおよそ一週間は、手元のプラグインやテーマを新しい版に当てて試せる期間でもある。7.1では、投稿一覧の表で見出しにあたるセルの位置が長年の形から変わるといった、地味ながら影響範囲の広い変更も入っていた。修正版でどこが動くのかを先に眺めておけば、公開後に原因を探して回る時間は減らせる。日々の運用を預かる立場なら、公開日の前後で表示と管理画面を一度通しで確認しておくくらいの構えでちょうどいい。

Chromeの新版が隔週で届く体制に変わる

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Googleが今年3月に告知していたChromeのリリース間隔の変更が、いよいよ実際の運用に入る。9月8日に安定版として公開されるChrome 153から、新しい版が2週間ごとに届く体制へ切り替わる。2021年から続いてきた4週間ごとの更新サイクルが、ここで半分の長さになる計算だ。

変わるのはベータ版と安定版で、デスクトップ、Android、iOSのすべてが対象になる。開発者が先行して動作を試すDevとCanaryのチャンネルには変更がない。Googleの説明によると、更新が頻繁になる代わりに一回あたりの変更範囲が小さくなるため、公開後に問題が出たときの切り分けがしやすくなるとされている。2023年に導入した週次のセキュリティ更新や、安定版を少し早めに配る仕組みと同じ流れの延長にある調整だという。実際、旧来の予定ではChrome 153の安定版公開は9月22日、次のChrome 154は10月20日だったが、新しい予定ではそれぞれ9月8日と9月22日に前倒しされている。

検証のリズムが変わる

制作の現場でまず効いてくるのは、動作確認のタイミングだろう。ベータ版は安定版の3週間前に出るとされているので、これまで月に一度まとめて追っていたリリースノートの確認は、間隔を詰めて拾う形に変わる。Googleも、サイトやアプリに影響しそうな変更を早めにつかむためにベータ版での検証を勧めている。追いかける先としては、機能の予定が並ぶChrome Statusのロードマップや、ベータ公開のたびに出る解説記事あたりが現実的なところだ。不具合の報告を受けたときに「どの版で試したか」を残しておく習慣も、以前より意味を持つようになりそうだ。ブラウザの版が違うだけで再現しない、という話は今後さらに起きやすくなる。

バージョン番号の刻みが速くなる点も、地味に効いてくる。ユーザーエージェントの数字を条件にした古い分岐や、特定のバージョンを前提にした社内の検証手順書が残っていれば、この機会に洗い出しておきたい。一方で、企業向けに用意されているExtended Stableは8週間のサイクルのまま据え置かれ、Chromebookについても専用の検証を経てから配信する形は変わらないとされている。管理された端末を配っている組織では、更新の速い一般の環境と、ゆっくり進む環境が並走することになる。取引先の社内向け画面やイントラのシステムを預かっているなら、どちらの前提で作られているかを一度確認しておくと、後で食い違いが出にくい。

直前のChrome 152は8月25日の公開で、旧サイクル最後の版になった。日々の制作がいきなり立ち行かなくなる種類の変更ではないが、ブラウザの機能が使えるようになる時期は全体として早まっていく。中小企業のサイトを預かる立場としては、新機能を先回りして追うより、確認の頻度を少し上げておくくらいの構えがちょうどよさそうだ。少人数で回している制作の現場ほど、更新の速さそのものより、気づける仕組みを持っているかどうかで差が出る。

開発者ツールの更新で通信の再送と要素確認が楽になる

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ブラウザに入っている開発者ツールは、毎日のように開いているわりに、更新内容を追いかける機会の少ない道具です。Chrome 152 に含まれた開発者ツールの更新には、通信の調査まわりを中心に、現場の手数をそのまま減らすものがいくつか入っていました。派手な新機能ではありませんが、知っているかどうかで不具合を追うときの段取りが変わります。

通信を作り直さずに送り直せる

ネットワークパネルの右クリックにあった Replay XHR という項目が Resend に変わりました。名前が変わっただけではなく、対象が XHR に限られなくなり、取得できる通信全般を送り直せるようになっています。標準の通信は fetch の呼び出しに変換されたうえで再送され、その通信がどの実行文脈から出たのか、コンソールのどこが発端だったのかも表示されます。フォーム送信やAPIの応答がおかしいときに、画面の操作を最初からやり直さずに再現できる場面が増えます。

一覧の見え方も整理されました。通信の連番を示す列が先頭に固定され、あとから特定の通信を指し示しやすくなっています。フィルタ欄にドメインやホスト名、ポート番号を入れたときに、同じサイト内の通信が正しく絞り込まれるようになった点も地味に効きます。ペイロードのタブには Base64、16進数、UTF-8 という復号方法の切り替えが加わり、バイナリや圧縮された送信内容の中身も読めるようになりました。クエリやフォームの値は、はじめから復号された状態で表示されます。

先読みの扱いも分かりやすくなりました。その通信が投機的な先読みによって始まったものかどうかを示す列が追加され、右クリックからは、そのまま HTML に貼れる先読み用の link 要素の記述をコピーできます。Early Hints は発信元の列にまとめられました。表示速度の改善を頼まれたときに、いま何が先読みされているかを一覧で確かめられるのは便利です。

要素パネルがカスタム要素と入れ子のCSSに追いついた

ハイフンを含む独自のタグや、組み込み要素を拡張した書き方をしている要素には、DOM ツリー上に目印のバッジが付くようになりました。ブロックエディタやフレームワークが吐き出したマークアップを読むときに、素の HTML との区別が一目で付きます。

入れ子で書かれた CSS の親セレクタにカーソルを合わせると、該当する要素がページ上で強調され、スタイルタブの絞り込みにも反応するようになりました。入れ子の宣言に対する詳細度の説明も出ます。擬似要素まわりも改善され、DOM ツリーで before や after を選ぶと、コンソールの直前選択の変数にその擬似要素が入るので、そのまま JavaScript から確かめられます。text-wrap の値の候補表示や、画像の値を取るプロパティの補完も加わりました。ボックスモデルの図も、スクロールバーが出ている要素の内容領域を正しく計算するようになっています。

調べた結果を外に持ち出しやすくなった

コンソールで表として出力した内容を、Markdown か CSV の形式でそのままクリップボードに写せるようになりました。調査結果を社内の共有ドキュメントや課題管理に貼るまでの手間が減ります。デバッガで停止中にカーソルを合わせて式を評価する動作についても、新しいオブジェクトの生成や動的な読み込み、削除などを含む式は評価されないよう守りが入りました。調べているつもりが状態を書き換えてしまう事故を防ぐ変更です。

アクセシビリティまわりの改善も入っています。アクセシビリティツリーのノードや、その配下のまとまりをテキストとしてコピーできるようになり、要素パネルとアクセシビリティツリーの行き来も右クリックからできるようになりました。暗い配色のときに検索結果の強調が見えにくかった問題も直っています。画像の遅延読み込みを指定しているのに幅と高さの指定がない場合には、警告が出るようになりました。遅延読み込みだけ入れて寸法を書き忘れ、読み込み中に表示がずれるというのはよくある型なので、指摘してもらえるのは助かります。

そのほか、ファイルを開くときに手元の作業ディレクトリのファイルが上位に来るようになった点、保存データの削除まわりの設定が一箇所にまとまった点、回線速度の制限について既定の設定と自作の設定が別の欄に分かれた点なども、細かいながら毎日の操作に効いてきます。

更新の届く間隔そのものも短くなる

こうした改善の届き方も変わります。Chrome は9月8日の安定版から、これまで4週間だった更新の間隔を2週間に縮めます。1回あたりの変更の幅は小さくなる見込みですが、開発者ツールの項目名や場所が以前より短い周期で動くことになります。すぐに追随できない管理環境向けには、8週間ごとの Extended Stable がこれまでどおり用意されます。

中小企業のサイトを預かる保守作業では、不具合の再現と確認にかかる時間がそのまま作業量に響きます。使い慣れた道具ほど更新内容を見落としやすいので、手が空いたときに一度、いつも使っているパネルを開いて何が変わったかを眺めておくと、次に慌てる場面で効いてきます。

カメラとマイクの許可を求める専用タグが増える

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ブラウザがカメラやマイクの利用を尋ねてくる、あの小さなダイアログ。長らくJavaScript側の都合で表示されるものでした。ページを開いた瞬間に出てしまったり、一度「許可しない」を押すと二度と出てこなくなったりと、扱いにくさは制作の現場なら心当たりがあると思います。Chromeはこの役目をHTMLの要素そのものに移す作業を進めていて、8月下旬に公開された次期版のベータ告知に、映像専用の camera と音声専用の microphone というタグが並びました。

この一連の取り組みはCapability Elementsと呼ばれていて、先に位置情報を扱う要素が入り、続いてカメラとマイクをまとめて扱う usermedia が少し前の版で使えるようになっています。書き方はタグを置いて中にボタンを入れるだけ。解像度やエコーキャンセルといった希望は、利用者が触る前に専用のメソッドで伝えておきます。ストリームが取れたらイベントが飛んでくるので、成功と失敗のコールバックを自分で組み立てる手間がほとんどありません。ブラウザが単なる許可の門番ではなく、同意の取得からストリームの受け渡しまでを仲介する役に回った、という整理です。今回追加される2つは、映像だけ、音声だけを求める場面に絞った軽い版という位置づけになります。

断られたあとに戻れる道をつくる

この作りが効いてくるのは、実は最初の許可よりも、断られたあとの立て直しの場面です。試験導入の段階で集まった数字が公開されていて、一度拒否した利用者が改めて許可にたどり着ける割合は、従来のダイアログでは10%程度だったものが、新しい要素では65%を超えたという報告があります。別の事業者では取得エラーが約47%減り、また別のサービスでは「マイクが動かない」という声が17%減ったとされています。ブラウザ側の部品を押したという確かな合図があるぶん、自動的な抑制に引っかからず、設定画面の奥まで潜らなくても復帰できる導線が用意されるためです。

その代わり、見た目の自由度はかなり絞られています。文字と背景のコントラストは一定以上が求められ、透明度を下げて見えにくくすることもできません。幅や高さ、文字サイズには上限と下限があり、負のマージンで覆い隠すのも不可、変形は平行移動と縦横比を保った拡大縮小までです。利用者をだます置き方を封じるための線引きで、ブラウザが責任を持つ部品である以上は妥当な制約だと感じます。状態に応じた装飾は用意されていて、許可が下りてストリームが流れている状態を擬似クラスで拾えます。

未対応のブラウザでは、このタグは未知の要素として扱われ、中身がそのまま表示されます。つまり中に従来どおりのボタンを置いておけば、対応していない環境では既存の呼び出しに落とす、という書き分けができます。オンラインの相談窓口や、申し込みフォームで書類を撮って送ってもらう画面など、中小企業のサイトでもカメラを使う場面は少しずつ増えました。今のところChromeが先行して進めている段階ですが、権限まわりの面倒がスクリプトからブラウザ側へ寄っていく流れは、頭の片隅に置いておくと後々効いてきそうです。

再読み込みのない画面切り替えも速度計測の対象に

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表示速度の指標として広く使われている Core Web Vitals には、長いあいだ埋まらない空白があった。JavaScript で画面の中身だけを差し替えるタイプのサイトでは、アドレスバーの URL が変わっても「新しいページを読み込んだ」とは扱われず、最初の読み込み時に測った数値がそのまま残り続けていた。その空白を埋める仕組みが Chrome に入り、解析サービス側の対応もこの夏から動き出している。

操作とURLと描画がそろった瞬間を区切りとみなす

Chrome の開発者向け資料では、この仕組みは「ソフトナビゲーション」と呼ばれている。何をもって画面の切り替わりとみなすかについて、ユーザーの操作が起点になっていること、ユーザーから見える形で URL が変わること、その操作の結果として実際に描画が起きること、という三つの条件が示された。この三つがそろったときにはじめて、ブラウザは新しい時間の起点を置く。

これが長らく難しかった理由も、あわせて説明されている。web.dev の解説によると、画面の一部だけを差し替える作りには標準的な型がなく、URL を更新するタイミングも、中身を読み込む順序も、サイトごとにばらばらだという。ちょっとした表示状態の変化でも URL を書き換えるサイトがある一方、まとまった単位でしか書き換えないサイトもある。この差を無視して一律に数え始めると、かえって実態から離れた数字になってしまう。だからこそ、フレームワークの違いに左右されない共通の線引きが必要だった。

二種類の記録が時系列に追加された

実装は Chrome 151 に入り、既定で有効になっている。パフォーマンスの時系列に、soft-navigation と interaction-contentful-paint という二種類の記録が追加された。前者は操作をきっかけにした同一文書内の履歴変化を報告し、そこから先の計測を最初の URL ではなく現在の画面に結びつける。後者は、操作によって書き換えられた部分に新しく描かれた内容を報告するもので、非同期の読み込みをまたいだ待ち時間も追える。

この二つがあると、切り替え後の画面についても LCP や INP、CLS を区切って測れるようになる。ただし細かい扱いには注意点が多い。同じ画像を出し続けている箇所は再描画されないため LCP の対象から外れ、通常の読み込みと切り替え後とで最大要素が変わることがある。最初のバイトが返るまでの時間にあたる TTFB は、切り替え時には便宜的にゼロとして扱うのが現在の推奨だ。こうした処理を自前で書かずに済むよう、公式の計測ライブラリ web-vitals は v6.0.0 でこの仕組みに対応している。

解析サービス側の数字が動くことがある

ブラウザが対応しても、実際に数値を見るのは解析サービスの画面だ。そちらの動きも出てきている。Cloudflare は 8 月 21 日に Web Analytics の計測改善を告知し、その変更履歴では 9 月 4 日に展開が完了したとしている。従来の全画面遷移に加えて、新しい API が使える環境での切り替えと、使えない環境で履歴の書き換えから推測した切り替えを、それぞれ別の種類として記録するようになった。後者では LCP は取れないが、ほかの指標は取得できるという。

注意したいのは、告知のなかで、ページビューや訪問の集計値、そして LCP の数値が変動しうると明記されている点だ。サイトの作りによって振れ幅は変わる。数字が動いたときにサイト側の不調を疑う前に、計測方法が変わったのではないかと一度立ち止まれるかどうかで、無駄な調査時間はかなり変わってくる。

手元のサイトで気にしておきたいこと

中小企業のサイトの多くは、ページごとに読み込み直す普通の作りなので、この話が直接効いてくる場面は限られる。とはいえ、商品の絞り込み、予約や見積もりの入力画面、地図や一覧の切り替えなど、部分的に画面を差し替えている箇所は珍しくない。そこがどれくらい待たされているかは、これまで数字として残りにくかった部分だ。

現時点で対応しているのは Chromium 系のブラウザだけで、検索まわりで参照される実測データにいつ反映されるかも、まだ示されていない。順位のために慌てて何かを変える話ではない。それでも、開発者ツールの計測画面ではすでに切り替えの区切りが見えるようになっている。自社サイトで JavaScript による画面の差し替えを使っているなら、その部分の待ち時間を一度自分の目で確かめておくと、次に改善に手をつけるときの判断材料になる。

CSSで書けることが増えた直近のブラウザ更新

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ブラウザの更新が続いていて、CSSだけで書ける範囲がまた少し広がっている。9月1日に公開されたFirefox 155と、8月にベータ版へ入ったChrome 153では、これまでJavaScriptを挟んで処理していたことや、回避策を組み合わせて実現していた表現が、スタイルシート側に移ってきた。

もちろん、実装されたばかりの指定をすぐ本番で使えるわけではない。ただ、どの方向に進んでいるかを知っておくと、いま組むサイトの設計や、数年後の書き直しの量が変わってくる。直近の更新から、頭の隅に置いておくと役に立ちそうなものを並べてみる。

HTMLの属性値をどのプロパティでも使えるようになった

CSSの attr() 関数は、これまで content プロパティの中でしか使えなかった。疑似要素にHTMLの属性値を文字として流し込む用途に限られていて、幅や時間の指定に使うことはできなかった。

Firefox 155では、この制限が外れて任意のプロパティで使えるようになった。width: attr(data-size px) のように単位を添えた型の指定ができ、値がなかったときのフォールバックや、名前空間つきの属性にも対応している。コンテナスタイルクエリの条件式の中でも使える。

棒グラフの長さや進捗バーの幅のように、データによって変わる数値をテンプレートから渡したい場面は多い。これまではインラインのstyle属性を書き出すか、JavaScriptで後から当てるかのどちらかだったが、data-属性に数値を入れておけばCSS側で受け取れる形になる。

色の透明度だけを差し替えられる関数

同じくFirefox 155で、alpha() 関数が使えるようになった。色を渡すと、他の成分はそのままに透明度だけを変えた色が返ってくる。関数の中では alpha というキーワードで元の色の透明度を参照できるので、alpha(from var(–brand) / calc(alpha * 0.5)) のように、元の値を基準にした計算も書ける。

ブランドカラーを変数でひとつ持っておき、ホバー時の背景や区切り線をそこから派生させる、といった使い方に向いている。色ごとに半透明版を別の変数として用意して二重に管理する、という手間が減らせる。

値の進み具合を数値として返す関数

progress() 関数も同じ更新で入った。開始値と終了値を渡すと、ある値がその間のどのあたりまで進んだかを数値で返す。opacity: calc(0.4 + progress(100cqw, 300px, 900px) * 0.6) と書けば、コンテナの幅が300pxから900pxへ広がるあいだに不透明度が変化していく。

これまでも calc() と clamp() の組み合わせで近いことはできたが、式が長くなって後から読み解きにくかった。どこからどこまで変化させたいのかが、そのまま式の形に出る。

スクロールの軸を分けて指定できるようにする動き

Chrome 153のベータでは、スクロールまわりの指定がふたつ増えている。ひとつは overflow プロパティで、scroll と clip を軸ごとに組み合わせて書けるようになる。overflow: scroll clip のように指定すると、position: sticky の固定範囲を軸ごとに別の祖先要素へ預けられ、clip を指定した側は動かないまま保てる。

もうひとつは scroll-axis-lock という新しいプロパティ。ブラウザは指やホイールの動きが片方の軸に大きく偏ると、その軸だけにスクロールを固定してしまうことが多い。誤操作を防ぐには合理的な挙動だが、地図や大きな図面のように斜めへ動かしたい領域では、固定がかからない角度から操作を始めないといけない、という不便につながる。この指定で、固定しないようブラウザへ伝えられる。

名前が変わったものと、まだ既定で無効なもの

Firefox 155では font-stretch プロパティが font-width という名前に変わった。旧名は別名として引き続き動くが、算出済みスタイルを列挙すると font-width のほうが返るようになっている。スタイルをJavaScriptから読み取って処理しているところがあれば、影響を受けないか確かめておきたい。

一方で、枠線の描画領域に背景を切り抜く background-clip の border-area や、スクロール量に連動するアニメーションは、Firefox 155では既定で無効のままだ。設定を切り替えれば試せるが、検証記事を読むときは、そのまま出荷されたものなのか、設定で有効にして試したものなのかを分けて見ておいたほうがいい。

ここに挙げたものは、いずれも片方のブラウザで実装が進んだ段階で、主要ブラウザで揃うまでにはまだ時間がかかる。中小企業のサイトで今日から使い始める類の話ではない。それでも、属性値や色や進み具合といった、これまでスクリプトに任せていた計算がCSS側へ降りてきているという流れは共通している。手元の案件で、これは本当にスクリプトが要るのかと一度立ち止まってみると、思ったより短く書ける箇所が見つかるかもしれない。

拡張機能の旧仕様がストアから完全に消えた

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ブラウザの拡張機能は、制作の現場で地味に効いてくる道具です。見出し構造の確認、色のコントラスト比の測定、通信内容の観察、テスト用のデータ差し替え。どれも本体の開発者ツールでできることではありますが、ワンクリックで呼び出せる拡張をいくつか常駐させている人は多いはずです。

その拡張機能の古い土台が、2026年8月31日にChromeウェブストアから完全に取り下げられました。長く予告されてきた移行の、最後の一段です。同じ週にはChrome 152の安定版で、別の系統の機能もひとつ静かに削除されています。予告された終わりが実際に来たとき、現場には何が残るのか。今回はそのあたりを整理してみます。

動かなくなった時期と、消えた時期は別

まず順番を整理しておくと、8月31日に起きたのは「急に動かなくなった」ではありません。Chromeの拡張機能の旧仕様は、2025年7月24日のChrome 138の時点で、すべての利用者、すべての配布チャンネルで無効化が完了しています。利用者が設定から手動で戻すこともできなくなりました。企業向けにはポリシーによる猶予が残っていましたが、それもChrome 139で撤去され、そのバージョンに上がった環境では一斉に効かなくなっています。

今回のできごとは、その先の段階です。ストアに残っていた旧仕様の拡張の掲載そのものが消え、更新の配信も、ストアからの再インストールもできなくなりました。Chromeの公式ドキュメントによると、Chrome 138以前で止めてある環境に入っているものはインストール済みの状態で残るものの、そこへ更新が届くことはないとされています。動作の停止が一年以上前、掲載の消滅が今回という、二段構えの終わり方になりました。

この二段構えは、利用者から見ると分かりにくい部分でもあります。無効化が進んだ時期には、拡張の管理画面に警告が出て、止まった拡張の代わりになるものがストアで案内される流れが用意されていました。案内する先そのものが今回なくなったので、これから同じ状況に出会った人は、自力で代替を探すことになります。制作側が顧客の環境を触るときには、この差を頭に入れておいたほうが説明しやすいはずです。

四年半かけて刻まれてきた予告

この移行は、ある朝いきなり通告されたものではありませんでした。公開されている支援終了の年表をたどると、ストアが新規の公開および限定公開の拡張の受け付けを止めたのが2022年1月、非公開の拡張についても止めたのが同年6月です。そこから二年ほど間があき、2024年6月に先行チャンネルで警告バナーの表示が始まり、旧仕様のまま残っていた注目枠のバッジが外されました。

2024年10月には安定版でも無効化が始まり、2025年3月末には既定で無効、ただし利用者が戻せる状態になります。同年7月にその戻す余地もなくなり、そして今回の掲載削除です。足かけ四年半、告知から実行までの期間としてはかなり長いほうだと思います。それでも最後の日には「もう入れ直せない」という形で影響が出るところが、この種の予告の難しいところです。

移行の途中で埋められていった機能の差

移行が長引いた理由のひとつは、新しい仕様で従来と同じことができるのか、という点が最初から解決していたわけではなかったからです。移行開始時の告知によると、この期間にユーザースクリプトの仕組みや、背景処理からDOMを扱うための画面外ドキュメントが追加され、通信の絞り込みに使うルールの上限も、あらかじめ同梱できる分が33万件、動的に足せる分がさらに3万件まで引き上げられています。

あわせて、ルール一覧の安全な更新であれば審査を数分で通す仕組みや、配信した版を巻き戻す機能も用意されました。同じ告知の時点で、活発に保守されている拡張の85%以上が新仕様に移っており、広く使われている通信の絞り込み系の拡張にも新仕様版が用意されていたと説明されています。外部の仕様変更に自分たちの実装を合わせていくとき、何が足りないかを出し合いながら進んだ例として読める部分があります。

移行を進めた側の説明では、新しい仕様の狙いは既存の機能を守りながら、安全性やプライバシー、動作の軽さ、そして信頼性を全体として底上げすることに置かれていました。実装者からの意見を受けて仕様を足していった、という経緯も添えられています。仕様の側が動かないまま期限だけが迫る形にはならなかったので、四年半という長さは、待たされた時間というより、埋め合わせに使われた時間と見るほうが実態に近そうです。

同じ週にもうひとつ外されたもの

8月25日に安定版となったChrome 152のリリースノートには、削除の項目がひとつだけ載っています。三者間のCookieについて現行の方針を維持するという発表を受けて、集計系のAPIが関連する一連の仕組みとあわせて廃止された、という内容です。長く議論されてきた計測手法の置き換えが、静かに畳まれた形になります。

多くの中小企業サイトでは、これに直接ぶつかることはないはずです。ただ、広告や効果測定のタグを入れたまま担当者が代わっている、というサイトは珍しくありません。自社で計測まわりの実装を抱えている場合は、リリースノートのこの行が自分たちに関係するかどうか、一度だけ確かめておくと安心だと思います。

手元の道具立てをどう見直すか

制作会社の側で今回の件が効いてくるのは、検証の手順に拡張機能を組み込んでいる場合です。旧仕様の拡張はもう入手できないので、検証用の端末を作り直したときに同じ環境を再現できません。手順書に拡張の名前が書いてあるなら、それが今も入手できるものかどうかを確かめて、置き換えるか、本体の開発者ツールでの手順に書き直しておくのが現実的です。

もうひとつ、古いChromeのまま固定してある検証端末に旧仕様の拡張が残っている場合は、そこに更新が届かない点を意識しておきたいところです。拡張は閲覧中のページの内容に触れる立場にあるので、直らないまま置いておく前提の道具としては扱いにくくなります。日常的に使う端末と、意図的に古い環境を保つ端末は、分けておくほうが落ち着きます。

顧客の環境について聞かれたときの答え方も、少し整理しておくとよさそうです。古い拡張が動かないという相談は、ブラウザ側の不具合ではなく、予定どおりの廃止によるものです。代わりのものを探すか、その作業を本体の機能で置き換えるか、という話に切り替えるだけで済みます。原因が分かっている変更は、伝え方さえ決めておけば手間の少ない部類に入ります。

予告を受け取る置き場所を決めておく

こうした変更を追いかけるコツは、情報を広く集めることよりも、見に行く場所を決めておくことにあります。ブラウザの各版のリリースノートには、追加された機能と並んで廃止と削除の項目が置かれています。拡張機能まわりの変更点も専用のページにまとまっていて、たとえばChrome 153では、URLの公開接尾辞を問い合わせるAPIの追加や、拡張のアイコンを既定でツールバーに固定する実験が告知されています。追加も削除も、同じ場所に同じ調子で並びます。

削除には猶予が用意されることもあります。Chrome 152では、ブラウザ側で行う変換処理の廃止に向けて、移行期間を確保するための試験参加の枠が始まりました。廃止の予告と、猶予の受け取り方が同じページに書かれているので、月に一度そこを開く習慣さえあれば、慌てる場面はかなり減ります。年表の最後の一行が自分の手元に届く前に気づけるかどうかは、結局のところ見に行く回数で決まります。

端末の性能の目安をブラウザから受け取る仕組み

つくば市のホームページ制作会社

自分の作業機では軽快に動くのに、お客様の手元ではもたつく。制作の現場では何度も出会う話です。8月25日に安定版が公開されたChrome 152に、この端末ごとの差を扱うための小さな仕組みが入りました。CPU Performance APIと呼ばれるもので、閲覧している端末の処理性能の目安を、ごく粗い段階の数値としてJavaScriptから読み取れます。

使い方はそっけないほど簡単で、navigator.cpuPerformance を参照すると小さな整数が返ってきます。値が大きいほど性能の高い端末、という意味づけです。Chromeの開発者向けブログでは、描画の作り込みを加減する、重い計算を減らす、裏で走らせる処理の量を調整するといった使い方が挙げられています。

これまでは自前で測るしかなかった

仕様草案によると、端末の性能に応じて中身を出し分けたいという要望は以前からあり、実現しているアプリは自前でベンチマーク相当の処理を走らせるか、ウェブには開かれていない内部的な機能に頼っていたとされています。性能を測るために端末に余計な仕事をさせるのは、順序が逆さまな感じもします。提案の目的のひとつは、この無駄をなくすことだと書かれています。

考え方としては、以前からある端末メモリ量の取得と似ています。細かい実測値ではなく、あらかじめ用意された区分のどれに当てはまるかだけを返す。navigator に読み取り専用の値をひとつ足すという形も同じ流儀です。

段階の分け方と、身元の割り出しへの配慮

返る値は1から4までの4段階で、判定できなかった場合は0です。基本の分け方は、OSが報告するコア数をもとにした素朴なもので、1コアなら1、2から4コアなら2、5から10コアなら3、それ以上なら4と決まっています。そのうえで、特定のCPUがコア数から想像される性能と大きく違うと分かっている場合に限り、ブラウザ側が段階を上下に1つずらしてよいことになっています。

おもしろいのは、この区分を将来にわたって動かさないと決めている点です。もっと高性能な端末が出てきたら、既存の端末を格下げするのではなく5段目を足す。同じ端末なら、混雑していても電池が減っていても、いつでも同じ値を返す。古い端末で古いアプリを開いたときの見え方が、時間が経っても変わらないようにするための約束事です。

もうひとつの軸が、閲覧者の身元を割り出されにくくすることです。CPUの製造元や型番、コア数をそのまま渡せば、端末を特定する手がかりが増えてしまいます。そのため仕様では、それぞれの段階に既存のCPU機種の1割以上、実際に使われている端末の1割以上が入るくらいの粗さを保つべきだとしています。利用できるのはHTTPS接続の場面に限られます。

参考値として付き合う

気に留めておきたいのは、この値が絶対的な事実ではないことです。Chromeでは閲覧者自身が設定画面から報告される段階を上書きでき、組織のパソコンでは管理者が方針で指定することもできます。値はあくまで判断の材料であって、これを根拠に機能を完全に閉ざす作りにすると、上書きした人が困ることになります。

他のブラウザの姿勢も、現時点では表明されていません。提案文書でChromeは前向きとされている一方、Edge、Firefox、Safariは公開の意見なしと記されています。当面はChromeだけで読める値だと考え、取得できないときや0が返ったときにどう振る舞うかを先に決めておく必要があります。仕様の例では、判定できなかった端末は高性能側と同じ扱いにしています。

加えて、この値が示すのは端末の地力であって、いまその端末が忙しいかどうかではありません。今この瞬間の混み具合を見たい場合は、別途用意されているCompute Pressure APIと組み合わせる想定です。読み込み時に演出を出すかどうかを決め、その後の負荷を見ながら止めたり戻したりする、という二段構えの例が示されています。

中小企業のサイトで、この値をすぐに使う場面はそう多くないはずです。ただ、同じページでも端末によって体験がまるで違うという前提は、値を読むかどうかとは関係なく効いてきます。凝った動きを見せ場にするなら、それが動かない端末でも内容が伝わるか。制作側が握っているのは結局そこで、こうしたAPIはその判断を少しだけ具体的にしてくれる道具だと考えています。

外部から預かった記事枠の見られ方が整理された

つくば市のホームページ制作会社

Googleの検索品質チームが8月28日付で、サイトの評判に関するポリシー(site reputation policy)の運用を見直すと公表した。あわせて、スパムポリシーの文書側にも、判断で見る観点が書き足されている。他社から持ち込まれた記事やコンテンツ枠を自社ドメインに載せているサイトにとっては、目を通しておく価値のある更新だと思う。

このポリシーはもともと、信頼を積んだサイトの評価に相乗りする目的で第三者のコンテンツを載せる行為を対象に、2024年に導入されたものだ。今回の文書では、第三者の記事があること自体は問題ではなく、そのサイトが既に持っている評価を当て込んで載せている場合だけが対象になる、と改めて念を押している。通信社の配信記事、フォーラムやコメント欄のような投稿型の場、寄稿やコラムなど編集上の性格を持つもの、そして記事広告のうち読者に直接届けることが目的のものは、対象外として名指しで挙げられた。

人の目で確かめられる観点

興味深いのは、人による確認で何を見るのかが箇条書きで示された点だ。挙がっているのは、見せ方(デザインや組み方、文字まわりが本体と揃っているか)、品質(本体側では出てこない品質の問題がそのページにないか)、書き手の明示(誰が責任を持つのかが書かれているか、それを疑わせる材料がないか)、そして同じ内容がほぼそのまま他のサイトにも載っていないか、の四つ。どれか一つで決まるものではなく、状況に応じて重みが変わるとも添えられている。

具体例も併記されている。提携先と組んだクーポン欄でも、本体から辿れる場所にあり、責任の所在と問い合わせ先が示され、独自の分類や編集の手が入っていれば対応の対象になりにくい。逆に、書き手も担当編集も分からず、本体の各セクションから辿れず、外部の販売サイトと同じ文面をなぞっただけのアフィリエイト記事は、対応の対象になりやすいとされている。判断の軸が、掲載の形式ではなく編集の関与の度合いに置かれていることが読み取れる。

もう一点、8月30日から、このポリシーに基づく手動対策の効き方が欧州経済領域(EEA)の内と外で変わる。域外では従来どおり該当部分の検索結果に影響し、域内では手動対策の影響を適用せず、その区画を本体と切り離して単独で評価する形にするという。欧州委員会との協議を踏まえた措置で、通知はいずれもSearch Console経由で届き、再審査リクエストの窓口も残る。

日本国内のサイトは域外の扱いになるので、実務上の見え方はこれまでと変わらない。ただ、提携先から預かるクーポン欄や、外部の書き手による特集ページを持っているなら、書き手の明記、本体と揃った見せ方、他所と同じ文面の使い回しを避けること、この三点はそのまま点検項目になる。サイトの一角を外部に貸す形の企画は中小企業のサイトでも珍しくないので、運用の担当者と共有しておくと安心だ。