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ベータに入った次のWordPressで現場に効きそうな変更

WordPressの次の大きな版、7.2のベータ1が10月20日に公開されました。正式公開は12月8日の予定で、今年最後の大きな更新になります。ベータは試験用の環境だけで動かすもので、本番のサイトに入れるものではありませんが、ここから先は大きな変更が加わりにくい段階です。何が入るのかを今のうちに見ておくと、年末の更新の見通しが立てやすくなります。公式の発表と開発者向けブログの10月号から、地方の制作会社や中小企業のサイトに関わりそうな項目を並べてみます。

画像の縮小と変換をブラウザ側で済ませる

メディアライブラリへの画像の追加で、縮小・圧縮・形式の変換をアップロードの前にブラウザの中で行えるようになります。これまではサーバーに送ってからPHPの画像処理に任せていた工程で、共用サーバーのように画像処理の性能に制約がある環境では、大きな写真を何枚も上げると時間がかかったり失敗したりすることがありました。手元で小さくしてから送る形になれば、転送量もサーバーの負荷も減ります。スマートフォンで撮った写真をそのまま上げるようなサイトほど効き目が大きいはずです。

管理画面の読み込みの仕方が変わる

管理画面で使うスクリプトとスタイルシートは、これまで複数のファイルをまとめて一つにして配信していました。7.2ではまとめるのをやめて個別に読み込み、ブラウザのキャッシュが効きやすい形に変えます。あわせて、次に開きそうな画面を先回りして読み込む仕組みが入り、ダッシュボードから投稿一覧、編集画面へと移る動きが速くなるとされています。表側のページには関係のない変更ですが、管理画面の重さに不満を持っている利用者には地味に効く部分です。

新しい既定テーマは年の名前を外した

7.2には新しい既定テーマが同梱されます。名前はIpsumで、長く続いた「Twenty」と年号の組み合わせから離れました。開発者ブログによると、これからの既定テーマは暦ではなく設計の必要に応じて入れ替わる方針で、名前はダミーの文章として使われるlorem ipsumから取ったそうです。中身は意図的に控えめなブログ向けのテーマで、点線の下線と少数の書体の組み合わせが基本、ヘッダーやサイドバーは必要なときだけ出す作りになっています。スタイルの切り替えでは画像まで含めて全体の色味を変え、どの組み合わせでもWCAGのAA基準を満たすとしています。既定テーマをそのまま使う小規模なサイトでは、ここが出発点になります。

デザインの道具が増えて表示幅ごとの調整も広がる

7.1で入った表示幅ごとのスタイル指定が、7.2ではギャラリーの列数や切り抜き、縦横比など、より多くの設定に広がります。文字の影(text shadow)もブロックの設定から付けられるようになり、theme.jsonにプリセットとして定義しておけば、サイト全体で揃えた使い方ができます。フォームの部品をグローバルスタイルから整えられるようになる点も、お問い合わせページを持つ企業サイトには関係が深いところです。開発者ブログの10月号には、既定で付く影のプリセットを切って自前の値だけにする設定例も載っています。

編集者どうしの書き込みは余白に移る

投稿に注記を残せるNotesの機能は、編集画面の余白に表示されるようになり、ブロックの設定パネルと同時に開いておけるようになります。絵文字での反応や、ツールバーからの呼び出し、折りたたんだ表示も加わります。複数人で原稿を回す体制のサイトでは、確認のやり取りを外のチャットに持ち出さずに済む場面が増えそうです。なお、複数人が同時に同じ投稿を編集する共同編集そのものは、7.2の計画には意図的に入れていないと明記されています。

プラグインの作り手が先に確かめておきたいこと

開発側に関わる変更もいくつかあります。APIキーなどを暗号化して預けるSecrets APIは、保存の層だけが7.2に入り、管理画面はその先の版に回されました。管理バーとメニューのアイコンは古いDashiconsからWordPressのアイコンライブラリに置き換わります。アイコンの描き方も塗りから線に変わっているため、管理画面のCSSでsvgのfillを指定して色を変えていたコードは効かなくなります。部品のライブラリでは、Divider、ResponsiveWrapper、Scrollable、ZStack、Elevationの五つが7.2で非推奨になり、7.4で外される予定です。データベースの接続では、WordPress自身のセッションからNO_BACKSLASH_ESCAPESというSQLモードが外されます。ほとんどのサイトには影響しませんが、このモードに頼った処理があるなら、db.phpのドロップインからしか戻せない点に注意が要ります。

ベータ1は、ベータテスター用のプラグインか、WP-CLIのwp core update --version=7.2-beta1、ブラウザだけで動くPlaygroundの7.2用の環境で試せます。テーマやプラグインに手を入れているサイトだけでも、11月17日のリリース候補版までに一度動かしておくと、12月の更新を落ち着いて迎えられそうです。

[1994-2002]
ITベンチャーの幹部として、8年間で数名の企業を500名以上の企業に成長させることに貢献。95年より独学でwebデザインを学ぶ。

[2002-2023]
米国法人のwebデザイン会社のCEOを務め数々の賞を受賞。

[2023〜]
AI事業開始に伴い、つくば市を拠点として株式会社RESONIXを起業。