Googleの検索向けドキュメントに、10月8日付で新しいページが加わりました。「UGC Fresh Data Program」という、利用者が書き込んだ投稿(UGC、ユーザー生成コンテンツ)を扱うプラットフォーム向けの申し込み制の仕組みです。Search Centralの更新履歴でも、このプログラムの目的と参加条件を説明するページを追加した、と記録されています。
掲示板や口コミ、SNS的な投稿の場を運営しているサイトにとっては、検索への載り方が変わるかもしれない話です。一方で、条件を読むと対象はかなり絞られています。何ができて、誰向けで、普通のサイトには何が関係するのかを順に整理してみます。
クロールを待たずに投稿を送り込む専用の経路
Googleの説明によると、このプログラムに承認されたプラットフォームは、専用のデータ取り込み経路を使って、投稿の中身と反応の数値をGoogleへ送れるようになります。ねらいは、新しい投稿を素早く処理して検索に反映させ、実際に体験した人の声を探している利用者に届きやすくすることだとされています。
ふだんの検索の仕組みでは、Googlebotがページを巡回して中身を読み取るまで、新しい投稿は検索に出てきません。掲示板のように数分単位で話題が動く場では、この待ち時間がそのまま情報の鮮度の差になります。サイト側から能動的に送り込める経路を用意した、というのが今回の新しさです。
送る側に求められる速さも具体的です。投稿は「できれば数分以内」に送ること、さらに作成から72時間以内は反応の数(いいねや返信の件数など)を定期的に更新して送ることが条件に入っています。
参加できるのは大きな投稿サイトに限られる
参加条件はかなり厳しめです。ドキュメントに挙げられている主な項目を日本語でまとめると、次のようになります。
- 投稿、SNS的な書き込み、フォーラムの議論が主な中身であること。投稿はプロフィールやタイムラインではなく、URLが変わらない個別のページに置かれていること
- 投稿の量が多く、利用者の規模も大きいこと
- ログインや有料の壁がなく、Googlebotと一般の利用者の両方が読める公開ページであること。投稿は公開プロフィールを持つ書き手にひもづいていること
- OAuth 2.0による認証を組み込み、厳密に検証されたJSON-LDのデータを組み立てられる技術力があること。各ページに構造化データ(SocialMediaPostingやDiscussionForumPostingなど)を正しく入れていること
- 違法な内容を載せず、通報の仕組みを含めて投稿の管理が行き届いていること
申し込みはフォームから行い、6〜8週間ほどで結果が返ってくるとされています。申し込んでも参加が約束されるわけではなく、選ばれた場合に詳しい技術資料が渡される流れです。規模と体制の両面で、中小企業のサイトや地域の小さなコミュニティが今すぐ対象になる話ではない、と見ておくのが妥当でしょう。
小さな投稿の場でも整えておけること
ただ、条件の中身はそのまま「Googleが投稿の場に何を期待しているか」の一覧にもなっています。特に構造化データは、プログラムに参加しなくても使える既存の仕組みです。
Googleのフォーラム向け構造化データ(DiscussionForumPosting)の案内では、フォーラム型のサイトがこのマークアップを入れると、検索側がウェブ上の議論を見分けやすくなり、「ディスカッションとフォーラム」のような表示に使われるとされています。返信は元の投稿の下に入れ子で並べる、スレッドが何ページにも分かれる場合は後ろのページにも元の投稿と本来のURLを示す、といった書き方の指針もあります。いいねの数や書き手の投稿数は、interactionStatisticという項目で表せます。
たとえば、店舗サイトに付けた質問コーナーや、会員同士が情報交換する小さな掲示板を運営している場合、次のような点は規模に関係なく見直せます。
- 投稿ごとに固定のURLがあり、一覧ページだけに中身が埋もれていないか
- ログインしないと読めない作りになっていないか(公開したい投稿の場合)
- 書き手の名前や投稿日時がページ上ではっきり示されているか
- 荒らしや不適切な書き込みへの通報と対応の手順が用意されているか
WordPressにフォーラム系のプラグインを入れて運営している場合も、どんな構造化データが出力されているかをリッチリザルトテストで一度確かめておくと安心です。Googleの案内でも、マークアップを入れたら数ページで試し、URL検査ツールでGoogleからの見え方を確認する手順が勧められています。
今回のプログラムは、大きな投稿サイトと検索エンジンの間に専用の通り道を作るものです。手の届く範囲は限られていますが、投稿を「個別のページで、誰が書いたかがわかり、きちんと管理されている」状態に保つことは、どの規模の投稿の場でも検索で正しく扱われるための土台になります。口コミや質問コーナーを持つサイトを預かっている制作者は、条件の一覧を点検表のつもりで読んでみると得るものがあると思います。













