ブラウザでXMLサイトマップを開くと、URLが表のように整って並んでいる。WordPressのサイトを納品したあと、お客さんに「サイトマップはここです」と見せたことがある方も多いと思います。あの見た目を支えてきた仕組みが、Chromeから外されようとしています。
ChromeがXSLTを取り除く予定と理由
Chrome for Developersの解説によると、ChromeはXSLT(XMLを別の形に変換するための言語)をブラウザから取り除く方針で、Chrome 158(2026年11月17日予定)から安定版で動かなくなるとされています。対象は、JavaScriptのXSLTProcessorと、XMLの先頭に書く<?xml-stylesheet type="text/xsl" ...?>という指定の二つです。オリジントライアルや企業向けポリシーで延長する道は残されていますが、それも2027年8月のChrome 176で終わる予定です。FirefoxとWebKitの側も、同じく取り除く意向を示していると説明されています。
理由として挙げられているのはセキュリティです。ブラウザに入っているXSLTの処理系は1999年の仕様のまま止まっており、中身は古いC/C++のライブラリです。メモリ安全性に関わる深刻な脆弱性が繰り返し見つかっている一方、実際に使われているページの読み込みは全体の0.02%ほどしかないといいます。使う人が少ないのに攻撃の入口になり続ける機能を手放す、という判断です。なお、XMLそのものの表示や、CSSを当てるtype="text/css"の指定は残ると明記されています。
WordPress本体はサイトマップの装飾をやめた
この影響をまともに受けるのがXMLサイトマップです。WordPress本体が出力するwp-sitemap.xmlは、XSLのスタイルシートを指定して人間向けの表を描いていました。これについて開発版(trunk)では、2026年10月3日にXSLのスタイルシートを取り除く変更が取り込まれています。今後のサイトマップには装飾の指定が入らず、ブラウザはXMLをそのまま表示することになります。
関連するwp_sitemaps_stylesheet_urlなどのフィルターやWP_Sitemaps_Stylesheetクラスは非推奨となり、フックしていても結果は使われず、開発者向けの通知が出るだけになります。議論の過程では、CSSで見た目だけ整える案や、サーバー側でXSLTを処理する案も出ていました。ただ、CSSではloc要素をリンクとして扱えず、サイトマップの索引から個別のサイトマップへクリックで進めないという指摘があり、まずは装飾を外す形で決着しています。
SEOプラグイン側はCSSへの置き換えを進めている
独自のサイトマップを出すSEOプラグインも対応を進めています。Yoast SEOのGitHubでは、XSLTのスタイルシートをCSSに置き換える作業が10月に起票され、コミットも積まれています。中央寄せの見出しや縞模様の行など、今の見た目をCSSで再現する計画です。
一方で、CSSでできることには限りがあると整理されています。URLはクリックできない文字列になり、「このサイトマップには何件のURLがあります」という件数の文言も出せず、更新日時はISO形式の生の値のまま表示されます。ニュースや動画など一部のアドオンは、それぞれの対応が出るまでXSLTのままになる見込みです。
検索への影響はなく、困るのは人間の目
押さえておきたいのは、検索エンジンへの影響はないという点です。Yoastの起票でも、検索エンジンはXMLを読み、スタイルシートは無視するため影響を受けないと書かれています。Search Consoleに登録したサイトマップのURLを変える必要もありません。
困るとすれば、人の目で確認する場面です。Chromeの安定版ではすでに、XSLを指定したXMLを開くと警告の帯が出るようになっているとされます。11月以降は、お客さんがサイトマップを開いて「表示が崩れている」と連絡してくることもありそうです。納品時の確認資料や操作説明にサイトマップの画面写真を載せている場合は、見え方が変わることを一言添えておくと安心です。
自前のテーマやプラグインでXSLを使った一覧表示を作っている場合は、もう少し注意が要ります。Chromeの解説では、サーバー側で変換してHTMLを返す方法や、互換用のポリフィルを読み込む方法が紹介されています。RSSフィードをXSLで読みやすく見せている例も同じ扱いになるため、制作物の中にtype="text/xsl"の指定が残っていないか、一度探しておくとよいと思います。













