最近、どこに行ってもよく聞く話は「人材・人手不足」についてです。
・人が集まらない問題
・人が辞めてしまう問題
だいたい、この2点のことが多いです。
今回は、この2点についての、わたしの持論・解決策をお話しさせていただきます。
1.人材が集まらない問題
「どこで聞いても人手不足、少子高齢化でどうしようもない。」
よく聞くお話しです。
まず、人材が集まらない時のポイントは3つ。
・少子高齢化は社会の問題であり、企業の問題ではない
・安く雇える都合の良い人材を求めすぎている
・そもそも人材不足ではなくIT化不足
ひとつづつ解説していきます。
①少子高齢化は社会の問題であり、企業の問題ではない
少子高齢化と人材不足を結びつけるのは
カッコつけて言うと「外的帰属」とか「自己奉仕バイアス」とかいいますが
要は、悪い結果を他人のせいにするということ。
ミクロの問題に対処できない時に、マクロの問題にする。
最近はこのようなマクロ依存が強くなっている傾向を感じます。
近年の政治への関心の高まりなんかも、ある意味そうだと思います。
仕事の問題、パートナーとの問題、子供の問題、体調の問題。
本来は「自分の足元で向き合うべきミクロの問題」から目を背けるために、
マクロな問題に声をあげる。そんな構図も見え隠れします。
「自己保護」が根源としてある人類にとって、当然の思考すり替えだと思いますが問題は解決しません。
”他人のせいにしてはいけない”
誰もが幼少時代に教えられたと思います。
親の問題でも、環境の問題でも、社会の問題でもありません。
「わたしの問題です。」
そもそも「問題」をマイナス視すること自体がもったいないと思います。
問題なんて、直したり解決すれば良いだけです。
ただの「醍醐味」です。
②安く雇える都合の良い人材を求めすぎている
会社側が都合の良い人材を求めるように、求職者は自分に都合の良い会社を求めています。
…そりゃ、マッチングしませんよね。
給与や待遇が悪くて、優秀な人材。
宝くじより当たらんと思います。
大谷選手が結婚した時に、ガチで落胆した女性がたくさんいたらしいですが
いや、ワンチャンないでしょと、これ以上ない軽蔑の眼差しで見ていた男性。
同じことやってますねん。
③そもそも人材不足ではなくIT化不足
これが結構根本的な問題の場合が多い気がしてます。
「なんでそんな作業してるんですか?」ってことが、かなり多いのが現実です。
タブレットを使って紙を減らせば DX だと思っている企業が多い中で、
本当の意味での IT 化や AI 化が現実問題かなり難しいのは、よくわかっています。
しかし、人材不足を本当に解消できる唯一の手段は、ここにしかないとも思います。
タブレットもスマホもそうですが、所詮ユーザーにしかなれないです。
プレイヤーになるにはPC一択です。
これと同様に、AIの無料ユーザーは、所詮ユーザーにしかなれないです。
プレイヤーになるには課金一択です。
わたしは、ユーザーが悪いとは1ミリも思っていません。
プレイヤーになりたがっているのに、行動がずっと「ユーザー」のままの人を見ていると
「なんなん?」とは思います。
2.人が辞めてしまう問題
まずポイント3つ
・人は辞めるということ
・やる気搾取は御法度
・せっかく育てたのに辞めちゃう
①人は辞めるということ
人は固定的なものではなく、流動的なものです。
人が辞めてショックなのは、わかります。
しかし、辞める前提で考える必要もあります。
中小企業の離職率で見ると、ざっくりこんな感じです。
企業規模(従業員数) 離職率
300~999人 16.1%
100~299人 19.0%
30~99人 16.0%
5~29人 15.6%
※出典:厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概況
これはあくまで平均で、もちろん業種によって大きく異なります。
離職率が高い業種
・宿泊業、飲食サービス業:26.6%
・生活関連サービス業、娯楽業:28.1%
離職率が低い業種
・製造業:9.7%
・金融業、保険業:10.5%
けっこう簡単に調べられるので、御社の業種で一度見てみてください。
平均の離職率と同等または低ければ、そこまで気にすることじゃないと思います。
一方で、平均より高い場合は、給与や待遇、人間関係などの問題がある可能性は高いです。
もちろん離職率は年齢によっても変わります。
年齢階級 離職率
19歳以下 43.1%
20~24歳 29.2%
25~29歳 21.8%
30~34歳 16.9%
35~39歳 14.8%
40~44歳 13.0%
45~49歳 12.0%
50~54歳 11.2%
55~59歳 10.3%
60~64歳 17.5%
65歳以上 14.1%
(参考) 全体平均15.0%
年齢が上がるにつれて、離職率が低下する傾向は、はっきりと出ています。
なので、離職率を下げたい!だけが目的であれば、高齢者の雇用でバッチリ解決できます(笑)
次に、中小企業の平均勤続年数は以下の通りです。
男性:10~13年
女性: 7~10年
※厚生労働省の調査による
ここで、注意する点は、離職率、平均勤続年は似て非なるものということ。
離職率は「人の流れ(フロー)」を見ているのに対して
平均年数は「今いる人(ストック)」を見ています。
この二つが混在すると肌感覚とのズレが起きます。
特に平均は、上下をカットしたトリム平均ではないので、平均値のマジックがあります。
「平均勤続年数」は、それ単体で見ると肌感覚とズレますが、「離職率」とセットで見ることで初めて意味を持つ(例:「平均は長いのに離職率が高い」=ベテランはいるが若手が辞めている会社)と理解するのがよいかと思います。
数値を見るだけで、数値が読めない人は、数値は追いかけない方が良いです。
結論で言うと、数値を読んで平均以下なら気になしない。
数値を読めない人は、そもそも気にしない。
これが一番です。
②やる気搾取は御法度
やる気搾取は大きく分けて2パターンあると思ってます。
・肩書を簡単にあげるパターン
・あげる肩書がない、給与があげられない、だから教育パターン
1)肩書を簡単にあげるパターン
⚪︎⚪︎リーダーとか、よく見かけますね。
責任だけあって、給与と権限が比例してない一番悪質なやる気搾取パターンです。
責任と給与と権限は比例して初めて成り立ちます。
このての企業はすぐに人が辞める傾向を強く感じます。
2)あげる肩書がない、給与があげられない、だから教育パターン
1)よりは良い気もしますが、あげれる肩書きがない、給与もあげられない、だから社員のモチベが上がらない
では教育して、モチベを上げよう。
んー幼稚園の頑張ったらシール貰えるみたいな感じは、大人には通用しないと思います。
先も述べましたが、モチベを上げるには
責任と給与と権限は比例して初めて成り立ちます。
やる気搾取は、見ていて一番美しくないとわたしは思います。
③せっかく育てたのに辞めちゃう
これもよく聞きますね。
ガッカリする気持ちはよくわかります。
わたしごとですが、ベンチャー企業時代に社長とぶつかった経験があります。
当時は「肩書は渡す・給与は渡す・しかし教育は徹底しない」という方針の企業でした。
幹部として、もっと社員教育を強めたかったわたしに社長が言いました。
「教育して成長すると、人は辞めるんだよ。人を集めるのにどれだけお金がかかると思ってる。」
はぁああああぁぁ?
と、当時は思いましたね。
器の小さい社長だなと。
「辞めたっていいじゃないですか、いつか今の自分があるのは
あの会社で厳しくしてもらえたからと思ってもらえれば」と、言いましたが
わかってねぇなぁいう顔をされ、価値観の違いでそこから独立に向かいました。
でもね、20年以上経ってみて、あの時の社長の発言は「企業」としては間違ってなかったと思うんですよ。
現に今や5000人規模の企業になっていますからね。
企業とは「利益を上げるもの」と定義したとき、あの発言と決断は、正しいとも言えるわけです。
高いポジション、高い給与。 人は責任とお金と安心を抱え込んだまま、自分で動けなくなっていく。
そうやって“辞められない人”を増やすのが、経営としては一番ラクなんだろうな、とも思います。
でも、やらんけど。
わたしは、「いつ辞めてもいいし、辞めてもこの経験は血肉になる」 そんな時間を一緒に過ごせる会社の方が、少しだけ人間らしくて好きです。
人は辞めます。ITも進化します。 少子高齢化も、すぐには止まりません。
それでも、自分の会社の“人手不足”くらいは、 「時代のせい」じゃなく、自分たちの手でなんとかしていきたい。
Just be hopeful.
No comment yet, add your voice below!