春の新しい技術や動向が出揃ってきたので、今知っておきたいウェブ制作・WordPress・セキュリティの動きを整理してみました。それぞれがどう制作現場に影響するか、中小企業サイトでどう活用できるかという視点で見ていきます。
WordPress 7.0の準備が本格化
WordPress 7.0は2026年5月20日にリリース予定で、現在RC(リリース候補版)の最終テストが行われています。リアルタイム共同編集機能がGutenberg Phase 3の一環として導入される見込みで、複数人でのコンテンツ制作が大きく変わりそうです。
ただし、この機能にはWebSocket接続をサポートするホスティングが必要になる可能性があるため、現在のサーバー環境が対応しているかの確認が必要です。システム要件もPHP 7.4以上、MySQL 8.0またはMariaDB 10.6以上に引き上げられるため、古い環境からのアップグレード計画も立てておきたいところです。
WordPress 6.9.1のメンテナンスリリースも2月に配布済みで、49件のバグ修正が含まれています。メジャーバージョンの前に安定性を確保する流れが見えています。
CSS コンテナクエリがようやく実用段階に
コンテナサイズクエリは、Chrome 105+、Firefox 110+、Safari 16+、Edge 105+で95%以上のグローバル対応を達成し、制作現場で本格的に使えるレベルになりました。2015年から求められていた機能が、ついに全主要ブラウザで実際に動作する状況です。
コンテナクエリの何が変わるかというと、コンポーネントがビューポートサイズではなく、親コンテナのサイズに基づいてスタイルを調整できることです。同じカードコンポーネントをサイドバーに配置しても、メディアクエリだとページ幅を見てしまうが、コンテナクエリならサイドバーの幅に応じて適切にレイアウトが変わるというわけです。
ただし、スタイルクエリ(@container style())はChrome 111+とEdge 111+のみ対応で、FirefoxとSafariはまだ開発中なので、段階的な導入が賢明でしょう。
Core Web VitalsのINPが本格始動
Interaction to Next Paint(INP)は2024年3月にFirst Input Delay(FID)に代わってCore Web Vitalになりましたが、2026年に入ってその影響が本格化しています。
2026年初頭のCrUXデータによると、43%のウェブサイトがINPの200ミリ秒の閾値をクリアできず、最も失敗率の高いCore Web Vitalとなっています。FIDからINPへの移行により、モバイルのCore Web Vitals合格率が約5ポイント低下しており、多くのサイトで対応が急務です。
INPがFIDより厳しいのは、最初のインタラクションだけでなく全てのインタラクションを測定し、入力遅延だけでなく処理時間と描画遅延も含むためです。重いアニメーションや複雑なJavaScriptが動くサイトでは、パフォーマンスの見直しが必要になるでしょう。
WordPressセキュリティの新たな脅威
4月のセキュリティ動向で注目すべきは、Essential Pluginポートフォリオの31個のプラグインで、所有者変更後にバックドアが仕込まれ、8か月間潜伏した後に数千のサイトが感染した事件です。
WordPressはプラグインの所有者変更をユーザーに通知しない仕様のため、信頼していたプラグインが密かに悪意のあるコードを含むようになっても気づけません。最近の1週間だけで185件の新しい脆弱性が発見されており、そのうち16件は未修正という状況も踏まえると、定期的なセキュリティ監査の重要性が高まっています。
2026年には商用WordPressプラグインは法的にEU圏ユーザーに提供するため脆弱性開示プログラム(VDP)の設置が義務化される予定で、セキュリティ体制の透明性がより求められるようになります。
実務への影響を考える
これらの動向を踏まえ、制作現場で今できることを整理すると、WordPress 7.0に向けては現行サーバー環境の要件確認、コンテナクエリは既存メディアクエリとの併用での段階導入、INP対策は重いJavaScriptの見直しとパフォーマンス測定の習慣化、セキュリティは月次でのプラグイン監査の仕組み作りが挙げられます。
3つのCore Web Vitalsすべてをクリアしたサイトは、失敗サイトと比べて離脱率が24%低く、オーガニック検索トラフィックの改善も確認されているという調査結果も出ているため、パフォーマンス改善の投資対効果は明確です。
新技術の導入は一度にすべて対応する必要はありません。現在運用中のサイトの安定性を保ちながら、段階的に新しい手法を取り入れて、ユーザー体験の向上につなげていくのが現実的なアプローチでしょう。













